中国ビジネス


 中国で成功している日系企業として、ベビー用品のピジョン株式会社を紹介する方が有った。ネットで調べてみると、取締役常務執行役員の北澤憲政氏がその立役者の様だ。

毎年新生児の数が減っている中で、増収増益を継続しているピジョンの成長源泉は、海外展開と言ってよいだろう。

中期経営計画書によると、2014年1月期の売り上げは、
連結総売上げ:774億65百万円
海外売り上げ:385億40百万円
中国売り上げ:224億17百万円
となっている。

関連会社の連結総売上に対し50%が海外の売り上げ、海外売り上げの58%が中国での売り上げだ。中国の売り上げは連結総売上の29%となる。中国市場での売り上げが全社に大きく貢献している。

中国も新生児数は減っており市場は減少傾向だ。しかし国民の可処分所得が上昇しているため、マーケットは拡大している。

北澤氏の経営成功要因を自分なりに推定してみた。

  • 長期経営。
    北澤氏は中国ビジネスを立ち上げたときから一貫して中国の経営トップを勤めて来られた。一部上場企業の場合、3~5年の任期を終えると、帰任される方が多い。長期間経営トップが変わらないのが良いと言う訳ではないが、ともすると、赴任期間を大過なく過ごし、帰任後のキャリアパスを睨みながら仕事をする傾向にあり、腰の据わった舵取りが出来ない。同じ経営者が長く居ることによる弊害も有るが、企業文化の浸透や、従業員からの信頼を得る、と言うメリットの方が大きいだろう。
  • 権限委譲
    副総経理には、中国人女性が抜擢されている。経営幹部は日本人赴任者が占め、中国人部長と言っても名ばかりで、人事権もない、と言う日系企業も有る。ローカル人材がいかに優秀であろうと、日本人だと言うだけで上位職を占める、と言う組織では優秀な人間から離職をして行くだろう。
    ピジョンには充実した人材育成の仕組みが有る様に思える。
  • 販路構築
    中国国内に15,000社の取り扱い小売り店が有ると言う。販路の整備拡大は、一朝一夕では出来ない。中国に進出した2000年当時から、中国を市場として捉え、継続的に販路構築の努力をされたのだろう。
  • ブランド戦略
    ピジョンは中国でも病院、産院と協力し、出産育児のサポート活動をしている。また、中国内陸部に小学校を寄付する活動も継続している。「貝親希望小学校」は既に5校有るそうだ。
    ブランド構築は、広告宣伝ばかりではない。この様な地域社会への貢献活動が企業ブランドを上げる。

このコラムは、2014年4月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第359号に掲載した記事です。

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