続・那覇空港ヒヤリハット事故


 2015年6月3日那覇空港で発生した自衛隊ヘリコプター、ANA、JTAの旅客機の重大インシデントを2015年6月15日配信のメルマガ第428号で取り上げた。

那覇空狐ヒヤリハット事故

離陸のため滑走路をタクシング中だったANA機の前方を、自衛隊ヘリコプダーが横切り、ANA機が緊急停止。ANA機離陸後に着陸予定だったJTA旅客機が、ANA機の前方に着陸した重大インシデントだ。一歩間違えればJTA機、ANA機が激突という大惨事となるところだった。

たまたま過去の記事を見ていて、本件に対し運輸省事故調査委員会はどの様に事故原因を特定したのか興味を持ち事故調査委員会の報告書を探して見た。2017年4月27日発行の「航空重大インシデント調査報告書」(AI2017-1)が見つかった。

重大インシデント発生の直接原因となったのは、

  • 自衛隊機はANA機への離陸許可を自機への許可と取り違えた。
  • 管制塔と航空機間のVHS無線通信のAGC(自動倍率制御)機能により自衛隊機の復唱が管制官に聞こえなかった。
  • 自衛隊機がタクシング中のANA機を発見するのが遅れた。
  • 管制官のJTA着陸機へのやり直し指示が遅れた。

その背景に、新人管制官の指導中だった管制官がギリギリの管制を新人に体験させたいと考えていたことを挙げている。またJTAでは着陸やり直しのシミュレーション訓練が行われていなかったことも機長が着陸復行ができなかった要因として挙げている。
根本的な原因として那覇空港が、民間航空会社と自衛隊の共用であるるため、離着陸の頻度が高いことが挙げられるだろう。

私たちがこの事例から学ぶことは

  • 安全が最優先されるべき。
  • 指示復唱の徹底。

復唱は「了解」「わかりました」の類では不十分だ。指示の内容を理解していること(重要度、緊急性、方法など)を確認しなければならない。したがって指示を出す側も、上記の点を明確に指示しなければならない。


このコラムは、2020年8月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1015号に掲載した記事です。

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