改善の定石に「人を責めるな、方法を攻めろ」という言葉がある。
ミスや不具合が発生した時に、その責任を人に求めても改善は出来ない。その発生原因を追究し、ミスや不具合が発生しない様に方法を改善しよう。という意味だ。
例えば、ネジ締め工程でネジの締め忘れが発生したとする。
作業員を責めると、その再発防止対策は「作業員に注意を喚起した」「作業員に再教育をした」という効果を実感できない方法となる。中には「作業員を替えた」という対策まで見たことがある。
作業員を取り替えたところで、不具合が発生しなくなるとは思えない。誰がやっても締め忘れのない方法を考え、対策としなければならない。
ネジを定量供給し、作業が終わった時にネジの過不足がないことを確認する。というように作業方法を変更すれば、不具合の発生は激減するだろう。これでもまだ「人の判断」が入ると不安ならば、締め付け用の電動ドライバーから締め付けトルクに達した信号を受け、ネジ締めの回数をカウントする。締め付け回数が所定の回数に達したら作業が完了する様にすれば、ほぼ完璧だ。
検査を追加するというのは、あまり良い方法ではない。付加価値を生まない工程をひとつ追加することになる。検査治具を作り、ナガラ化することは可能だ。AOI(画像認識検査装置)を導入するよりは圧倒的に、安価に治具を作ることが出来る。しかし機種ごとに専用治具を作らねばならない。
不具合が顧客に流失してしまった時には、検査追加を安易に考えがちだが、一度顧客と検査追加を約束してしまうと、簡単には追加検査を止められなくなる。不具合発生工程に対し原因対策を取れる方法を考えなければならない。
究極の改善は、設計を変更してネジ締めをなくすことだろう。
このコラムは、2011年7月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第215号に掲載した記事です。
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