中国製品の市場回収


 2007年は中国製品の市場回収が多くニュースとなった.記憶にあるものを並べてみると,

  • 「圧力なべ」:取っ手が高温になってやけどの危険性
  • 「IH電磁調理器」:部品不良による発煙の可能性
  • 「たこ焼き器」:電源コード接続部のネジ止め不良による発煙・発火の可能性
  • 「練り歯磨き」:ジエチレングリコールが検出
  • 「土なべ」:鉛の溶出
  • 「おもちゃ」:塗料から鉛が検出
  • 「塩ビのおもちゃ:フタル酸ジエチルヘキシルが検出
  • 「ポータブルDVDプレーヤ」:高熱により変形や発煙・発火の危険性

市場回収が発生すると莫大な費用損失が発生する.そればかりではなく,生産委託したメーカ,輸入商社の信用も大きく損なわれる.回収事故一件で倒産してしまう会社もあるだろう.

市場回収となる安全性の欠陥については,商品企画,開発,試作,量産の各段階で事前にリスクをきちんと評価・対策しておかねばならない.予防的品質保証活動が重要である.

他社の事例から自社製品にも同じ問題が発生しないか検討し予防処置をとっておくことが必要だ.
上記の事故事例は過去の問題が形を変えて発生しているだけだ.
日本から製造現場が少なくなってくると,リスクを見抜く力が落ちてくる可能性がある.安易なリストラで設計の検証,協力工場の選定,協力工場の生産管理などの能力をなくしてはならない.

地雷を踏まないように祈りながら歩くのではなく,地雷を取り除いたところに道をつけて走るべきだ.


■今週の雑感

 職業柄市場回収の報道があると,原因を調べずにはいられなくなる.以前最大手の電源メーカがPC用アダプタ電源の回収事故を出したことがある.
その時は回収対象品を中古品市場やジャンクマーケットで探し回った.見つけてきた回収対象品を分解して,回収になるような事故の原因を探った.

そのものずばりの原因は見つけられなかったが,設計的なリスク,製造的なリスクがいくつも見つかった.そういうリスクに対する対策を自社製品に盛り込んでおくわけである.

こういう話を業界の人にすると,そっと本当の原因を教えてくれたりするものである(笑)


このコラムは、2007年12月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第11号に掲載した記事です。

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