自動化の意義


 どの工場も自動化をする時は、投資に対するリターンを試算して、自動化の可否を考えるだろう。中国の工場では、人件費が安いため、投資効率の試算で投資見送りとなることがままある。日本本社工場は高度に自動化されているが、中国では相変わらず手作業と言う工場も多い。

しかし投資効率ありきではない事例を見聞きすることが、最近増えてきた。

人件費が毎年上昇しているので、自動化案件が通りやすくなっていることもあるだろう。しかし最近は、自動化に対する動機そのものが変わって来ている様に感じている。

作業のバラツキによる不良を減らしたい。こういう自動化要求に対し、以前ならば検査の強化で対応していただろう。完全ではないにせよ、許される範囲に不良を抑えることはできる。

生産量を上げたいと言う自動化要求に対して、作業員をたくさん雇った方が手っ取り早く対応できる。

しかし最近は自動化要求の要因が変化している。作業員が集まらない、と言うのが自動化の主たる動機になってきているようだ。

検査を強化するために、検査作業者を追加投入しなければならない。
生産量を上げるために、もう1ライン分の作業者を採用しなければならない。
こんな製造部門の要求に簡単には応えられなくなってきているということだ。
作業が辛いと作業員が辞めてしまうから自動化したいという要求も聞く。

しかしただ闇雲に自動化すれば良いと言うことではない。まずは徹底的に作業改善をして、ムダ・ムリ・ムラをとる。その上で、フレキシブルな生産が出来るように自動化しなくてはならに。

生産量を追及する自動化は、同一規格大量生産で利益が出た時代には有効だ。
しかし市場の変化を考えれば、同一規格大量生産では利益が出にくい。製品と同時に貧乏も量産することになる。


このコラムは、2012年4月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第255号に掲載した記事です。

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