スズキの燃費試験データの不正問題で同社は31日、違法な測定の対象が2010年以降に発売された軽自動車と普通車の26車種、約214万台に上ると発表した。現場の不正をチェックする部門が機能せず、違法性を認識する社員がいたことも判明した。
(朝日新聞電子版より)
フォルクスワーゲン、三菱、スズキと自動車メーカのデータ不正が立て続けに出て来た。
担当社員の遵法意識とか、関連部門のチェック機能に関して振れている記事が多いが、私には開発業務そのものに重大な欠陥が有った様に思う。
私が開発のエンジニアだった頃、レポートの書き方を厳しく指導された。
例えば、評価実験の結果を報告するレポートでは、結果の再現性を保証するため実験方法を明確にする事、と教わった。
スズキの排ガス測定は、実測データではなく理論値を積み上げて計算していた訳だから、レポートには根拠となるデータと計算式が書いてあるべきだ。レポートにこの情報がなく、ただ燃費データだけが有ったとしたら、上司や関連部門はレポートの書き方について担当者を指導せねばならない。
理論データと計算式が書いてあれば、燃費測定方法が間違ってる事に気がつくはずだ。
「現場の不正をチェックする部門」と記事に書かれているが、燃費データを国に提出する法規承認部に現場の不正をチェックするミッションを与えていたのか疑問だ。申請手続きだけがミッションであれば、申請書類が過不足ない事を確認するしか出来ないだろう。
こういう確認を担当部門だけではなく、設計審査など関連部門が集まる中で確認するのが良いと考えている。
以前品証部門を担当していたときは、設計審査の前に関連する開発レポートや評価レポートに目を通していた。そこに書かれている事、書かれていない事をきちっと読み取れば、設計の現場で何が起こっているのか理解出来る。
うるさい品証部長を演じる事で、若手設計者の育成も出来たと考えている(笑)