営業力というと営業部門の力と考えがちだが、全ての部門で営業力、営業センスが必要だと考えている。
営業力を「物を売る力」と単純化し、更にこの「物を売る力」を要素分解してゆくと、PR力、顧客とのコミュニケーション力など基本要素に分解できるだろう。
こう考えると会社の中のどの部門も営業力が必要だといえないだろうか。例えば各部門の長は自部門の仕事を簡単にPRできるだろうか?
もちろんこのPRは他部門に対しても必要であろうが、自部門のメンバーに対して正しくPRできるということが、メンバーの結束力を高める基本となるだろう。
私は以前お付き合いのあったS社のプロキュアメント品質保証部の統括課長Tさんから「営業力」を教わった。昔S社向けの製品で一台だけ不良が見つかった。台湾で生産している部品の不良であった。即台湾の生産工場に飛び、原因究明と対策をして報告にうかがった。
Tさんからはまだ詰めが甘いとお叱りを受け、Tさんと一緒に再度台湾に出張することとなった。3日間朝から晩までご一緒し、仕事のことから趣味、家族のことまで色々語り合った。
Tさんの自部署の運営はこんな感じである。
自部署のパートさんにPC教育をして「商品価値」をあげる。
よその事業部へ出かけて行き新製品の立ち上げのため部材ベンダーの指導をする。この時の予算はきちんと当該事業部にお支払いいただく。
Tさんの自部門運営が営業センスがあると大変感心した。
それ以来私なりに自部門の運営に営業センスを入れてきたつもりだ。例えば品質目標として損失コスト(直接・間接を含め)を売り上げの0.2%以下とした。
協力工場、部材ベンダーに品質指導に行くときは「お金を払ってでもまた指導に来てほしい」といわれるレベルになるよう部下の育成努力をした。
品質保証部だけではなく全ての部署でも同様に、営業力を磨く必要があると考えている。特に間接部門は目標設定に営業センスが有るか無いかで、営業力が見えてくる。
このコラムは、2008年5月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第32号に掲載した記事です。
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