治にありて乱を忘れず


 先日ある経営者とお話をしていた時に「利益が出ている時の方が心配だ」とおっしゃった。

利益が出ていないときは、必死に受注の拡大をする、収益体制の改善をする、そんな時は心配などしている暇はない。しかしひとたび利益が出だすと、その利益の源泉がなくなってしまったらどうしよう、と不安になるというわけだ。

まさに「治にありて乱を忘れず」だ。

利益が出ているときに次の収益の柱を次々と考え、それを大きくしていく。利益が出ていれば投資も出来る。乱を忘れずに人や設備に投資をしておけば、ひとたび乱に入っても動揺しなくて済む。

為替の変動についても手を打っておく。
その会社は日本円で取引をしているので、円が強くなれば香港ドルに変えれば為替差益が出る。反対に振れても良い様にちゃんと先に手を打っておく。為替の変動などはこちらでコントロールすることは出来ないので、あらかじめヘッジをしておく。

経営を外部環境要因のせいにしない、全てを自責と捉えあらかじめ手を打っておく。そんな経営理念がにじみ出ているコトバだ。

99%安全でも1%を心配する。
1%でも可能性があれば果敢に挑戦する。

あたかも相反する行動原理のように見えるが、この相反する行動がバランスよく取れる事が重要だ。


このコラムは、2008年11月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第63号に掲載した記事です。

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