作業標準を守る


 先週のメールマガジンで作業標準について記事を書いた。

せっかく作業標準を決めても守られない。こんな事が往々にしてある。
守られないのには必ず理由がある。「品質意識が低い」の一言で片付けてしまっている例をよく見る。これでは対策の立てようがない。理由を明らかにしてきちんと対策を打つべきだ。

  • 作業標準があるのを知らない
     作業標準どおりに作業をしなければならない事をきちんと指示をするのが大前提である。作業手順書などにきちんと明示して文書化しておく必要がある。
  • 作業標準があるのを知っているが守れない
     知っていて守らないのはちょっと深刻だ。この場合にも理由はあるはずだ。やむを得ず守らない。つまり作業標準を守るのが困難な場合だ。ついうっかり守らなかった。これは作業標準を守る必然性がきちんと理解できていないと考えるべきだ。
  • 作業標準を守るのが困難
     作業標準にムダ・ムラ・ムリがある場合はしばらくの間守れてもいつかは守られなくなる。
    例えば不具合対策として重点目視項目を追加する。しかしタクトタイム以内で他の重点目視項目を検査する事が出来なくなってしまうことは往々にしてありうる。ムダ・ムラ。ムリを徹底的に排除して作業標準を作るべきだ。
    または作業者の技能が不十分で守れない場合もありうる。
    作業者の技能訓練をきちんとする。作業を簡素化する。治具や設備を工夫して誰でも作業できるようにすべきだ。
  • 作業標準を守る必然性が分からない
     作業標準が守られないと、どうなってしまうのかきちんと教えておく必要がある。どう作業すべきか(How)だけではなく、どうしてそうしなければならないのか(Why)をきちんと教えておく。
    それでも人間がする作業であれば、「ついうっかり」というのは発生する。
    作業標準どおりに作業をしなければ次の作業に移れないようにしておくなどの工夫が必要だ。
    例えば4箇所ネジ締めをする作業では、作業前に4本ネジを小皿に取り置き、作業終了時に小皿のネジの過不足がない事を確認する。ちょっとした作業追加で「ついうっかり」を防ぐことは出来る。
  • 故意に作業標準を守らない
     残念ながらこういうこともありうる。
    罰金・減給制度などの手を打っておられるところもあるだろう。しかしそれ以前に自分たちの仕事に対する「誇り」を持たせるところから始める必要があると考えている。
    牛乳を水で薄めメラミンを添加してタンパク質量のつじつまを合わせる、などという行為はこの例に当てはまるだろう。自分たちの仕事は国民の健康生活に貢献しているのだという「誇り」があればこんなことにはならないはずだ。

更に作業標準が守られている事を確実にするための工夫も必要だ。
例えばチェックリストなどは、きちんと作業標準が守られている事をダブルチェックする事が出来る。


このコラムは、2008年10月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第54号に掲載した記事に一部加筆修正しました。

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