MECE


 問題を定義したり、原因を分析したりする場合に「MECE」になっているか?ということにしばしば気を配っている。これがうまくできていないと、論理が崩れてしまったり、まともな答えが見つからないことになる。

「MECE」とは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、ミーシーと発音するようである。早い話が、ダブりもモレもない状態のことを言う。

例えば仕事の優先順位を考える時に、「緊急度」と「重要度」の組合せで考える。「緊急・非緊急」×「重要・非重要」の4つの組合せがMECEになっているので、このフレームワークで話をするとすっきりと理解が出来るわけだ。

例えば、日本人という集団を層別する時に、「犬好き」と「猫好き」に分けたのではMECEにならない。
・犬が好き
・猫が好き
以外に
・犬も猫も好き(ダブり)
・犬も猫も嫌い(モレ)
があるからだ。

「男性」「女性」の二つに分解すればほとんどの場合はMECEになっている。
ほとんどの場合と限定をつけたのは、分解をする目的によっては「同性愛者」を入れる場合もありうるだろう。

マーケティングへの応用で、消費者の嗜好を研究する場合など、商品によっては
・男性
・女性
・同性愛者
と分類しなければ、見えてこないマーケットもあるだろう。

そして層別がMECEであると共に重要なのは、層別の感度である。
例えば消費行動を、女性・男性だけの層別で調査しても層別による誤差が大きすぎて、意味のある結論を引き出すことは出来ない。
・収入による層別
・地域による層別
・既婚、未婚による層別
・年齢による層別
など消費行動により感度の高い層別法を考えなければならない。

顧客で不良品が見つかった場合にも、MECEの考え方が役に立つ。
不良が発生した場所をすべて挙げる(MECEになっていること)
1。原材料
2。前加工
3。組み立て
4。検査
5。梱包
6。出荷・輸送
7。顧客開梱
などのように列挙すればもれなく上げることができるだろう。

例えば人為ミスがあった場合
・知らないのでミスをした
・知っていてミスをした
更に知っていてミスをした、を
・故意にミスをした
・ミスをしたと認識できなかった

という具合にMECEになっているように分解してゆく。
このように分析してゆけば、人為ミスに対して作業員に注意を喚起した、という効果が実感できない対策でお茶を濁すことはないであろう。


このコラムは、2011年8月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第216号に掲載した記事です。

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