姥捨思想


 【ロンドン時事】新型コロナウイルスの感染が深刻化し、多くの国がロックダウン(都市封鎖)状態にある欧州で、封鎖をしない北欧スウェーデンの
「独自路線」が注目を浴びている。ソフト対策の背景には、強制より個人の自主性を尊重する伝統が根強いほか、医療制度が充実し医療崩壊の懸念が少な
いことなどがある。さらに多数が自然感染して免疫を持つことでウイルスを抑制する「集団免疫」の形成も念頭にあるとされる。

jiji.comより

 このニュースを見て驚愕した。現代にこのような考え方をする国が有るとは信じられない思いだ。確かに新型コロナウィルスに感染しても発症しない人はいる。発症しても治癒する人もいる。新型コロナウィルスに感染し死亡する人より、新型コロナウィルスに感染しても発症しない人、発症後治癒する人の方が多分多いだろう。それらの人々は新型コロナウィルスに対する免疫ができている。
であれば、無理やり都市封鎖をして国民に不便を強い、経済活動を停滞させるより、普通の生活を継続し免疫を持つ人を増やした方がいい。合理的な発想であるように思える。

しかしよく考えて見たい。
この政策で命を落とす者は、高齢者、病弱な者だ。弱者を切り捨て全体を守る「姥捨思想」だ。

村落を守るために、足手まといとなった老人を切り捨てる。
神の怒り(天災)を鎮めるために、少女を生贄とする。

しかし今、新型コロナウィルス禍との我々の戦いは「ホモサピエンスの保護」ではない。
我々が守らなくてはならないのは、種の存続ではなく、感情を持った家族、隣人だ。


このコラムは、2020年4月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第973号に掲載したコラムです。

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