「私は安全な場所から」 台風報道、消える「定番」中継


 今年は夏から秋にかけて台風でひときわ大きな被害に見舞われた。目に付いたのは、テレビ局による屋内からの中継だ。台風中継の意義とは?

全文

朝日新聞電子版より

 今年は台風、地震など自然災害が多くあった。
タイトルにある「定番」とは、強風、大雨の中でニュースキャスターが現場の状況を中継する報道のありようだ。

カッパにヘルメット姿のキャスターがマイクを握りしめ絶叫するように現場の状況を伝える、というのが台風に報道の定番だった。しかし今年は「私は安全な建物の中からお伝えしています」という報道が多かったそうだ。

しかし安全な場所からの報道で真実が伝わるのだろうか。
安全な場所からの映像を椅子に腰掛けて(笑)解説してもらっても、実感がわかないだろう。

わざわざ危険に身をさらすことはなかろう、という意見もあると思う。反対するつもりはない。しかし自局の職員の安全を優先するがために、下請けのフリーランス記者が戦闘地域に赴くことになる。組織力も資金力もない個人が徒手空拳で戦闘地域に出かけ人質として捉えられてしまったことに対し、社会的な批判が上がっているようだ。

しかし本来元請けの報道企業が万全の準備をして記者を送り込むべきだったのではなかろうか?報道の自由を言う前に報道の責任についても考えを巡らすべきだろう。


このコラムは、2018年11月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第743号に掲載したコラムです。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】