カイゼン活動


5月22日のasani.comニュースによるとトヨタ自動車が、カイゼン活動に残業代を払うことになった。以下はニュースの抜粋。

トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から

 トヨタ自動車は21日、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで取り組む「カイゼン」活動について、残業代を全額支払うことを決めた。月2時間までとする残業代の上限を撤廃する。「自主的な活動」としてきたカイゼン活動を「業務」と認定する。
労働組合も了承しており、6月1日から実施する。

 長時間労働による健康被害や過労死が深刻化する一方、「名ばかり管理職」への批判を受け、日本マクドナルドが直営店の店長に対する残業代の支払いを決めたばかり。
サービス残業と指摘されたカイゼン活動を残業と認めるトヨタの方針転換で、製造業でも「働き方」と「報い方」のバランスを見直す動きが広がりそうだ。

 カイゼン活動は業務であるからその報酬が支払われるのは当然だ。
しかしトヨタの中で、何かが変わり始めているのを感じる。

従業員が自らの成長のために「業務以外の仕事」を会社に残ってやる。
それが会社にとって生産性のカイゼン活動になっている。
という黄金の労使関係がトヨタには存在していたのではないだろうか?
もちろん部外者の私には知る由もないのだが、私にはそのように見えていた。

従業員が、自らの成長のために喜んで仕事をする。
仕事を通して成長する、その成長によって豊かな暮らしを実現する、という単純な図式は、豊かになってしまった日本ではもう通用しないのかもしれない。

仕事以外に自己実現、自己表現の手段がいくらでもある日本の環境では、若者のワークスタイルも変わってしまったのだろう。

しかし中国の若者には「自己成長」「豊かさの実現」に対する強い渇望がまだある。これらを求心力として会社経営をすれば、成長し続ける組織を作る事が出来ると考えている。

私がお手伝いしている工場では、カイゼン活動に参加した「選ばれたメンバー」には活動期間僅かな奨励金が出ている。しかしそれ以上にカイゼン活動に参加すること自体が、自己成長に大きく寄与し、「プライスレスの価値」がある事を理解してもらいようにしている。
これがカイゼン活動に対するモチベーションを上げ、その後の彼らの仕事への意欲にも影響を与えていると考えている。


このコラムは、2008年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第39号に掲載した記事です。

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