現場改善プラス・アルファ


 私の主な仕事は、表向きは製造現場における品質改善、生産改善だ。
しかし本当の仕事はここではない。

最近は頻繁に行くことができなくなってしまったが、多い月は3件ほど「工場無料診断」で工場を訪問してをしていた。その現場で具体的に改善ポイントを教えてしまう。

半日ほどの訪問で教えられる事は少ないが、「目から鱗でした」と感謝される事が多い。

「ただでそこまで教えちゃうの?」と同行者があきれる事もあった(笑)

例えば、4人でベルトコンベアに並んで組み立て作業をしている現場では、無料診断で訪問した時に3人で生産出来る様にした。現場を案内していた経営者はいきなり25%生産効率が上がりビックリしていた(笑)

しかし私の本当の仕事は、ここではない。現場のリーダが継続的に改善出来る様にする事が、私の本当の仕事だ。顧客の現場で、私自身が改善の成果を出す事は簡単だ。しかしこれでは、契約が終わった後は改善が継続しない。むしろ私が行った改善の成果すら薄れて行くことになる。

人を育て、人のノウハウが組織に残る様にする。これが私の役割だ。

従って、無料工場診断でホンキで改善してしまっても、私の役割を果たす水準までは到達出来ない。それなりの時間が必要となる。

例えば上記の4人作業を3人に改善した現場では、訪問後コンサル契約をいただいた。その後の指導で現場リーダ自身が3人作業を更に2人に減らした。当初と比較すれば2倍の生産性になった。

半年ほど指導した別の工場は、契約期間が終わった後に、生産効率が3.5倍になりました、と報告をよこした。

人を育てるだけではまだ不十分だ。人のノウハウが蓄積される仕組み,人が育つ仕組みを構築する事が必要となる。これが人を育て、組織を育てる事だと考えている。


このコラムは、2013年8月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第322号に掲載した記事です。

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