中華系の工場に行くと、経営者から「系統(システム)」を教えて欲しいとよく言われる。企業管理のシステムも、手法もそれだけで手っ取り早くうまくゆくと考えるのは幻想だろう。
システムや手法を理解しても、それを運用するのは人だ。
まずは、人の心を目指すべき方向にあわせなければ、システムも手法も役には立たない。
ではその企業が目指すべき方向、軸となるものは何か。
それは経営理念、企業の目的など、企業文化の軸になるものだ。
まずはその軸をしっかり持つことが必要だ。
先週訪問した台湾企業には、以下のような【使命】【経営理念】【ビジョン】と書かれた3つのポスターが掲示されていた。
【使命】
不同的想法 交換与溝通
我們分享不同的想法(多色的彩虹)
共同創造溝通的心腹体験(単色的紅心)
【経営理念】
個人態度
愛:歓喜的付出 熱情:
真誠、細心的照顧
誠信:誠実、珍惜服務的縁分
団隊精神
信任:我相信你、你就会信任我
自律:全因在我、栄辱与共
創新:真心想要、美夢成真
【願景(Vision)】
創造一箇有愛、富足、永続的世界
有愛:愛、熱情与誠信(個人態度)
富足:創造4者感動-顧客、社会、員工、経営(感動結果)
永続:以信任。自律。創新形成自我進化(団隊精神)
中文のままだが、その内容は理解できるだろう。
経営理念を従業員全員で共有することが、第一歩だと考えている。私の個人的な感覚からすると、ビジョンとして書かれた部分は、企業の目的に相当する。ビジョンとしては、3年後、5年後に達成する目標を持ちたい。目標であるから、具体的な達成目標が入っていた方が良いと思う。
私の個人的な感想は別として、大変すばらしい経営理念だと思う。
しかもオーナー経営者が、しばしば中国工場に来て従業員に理念を理解させる指導をしたそうだ。
仕組みだけではうまくゆかない。このような理念を中心とした経営を、従業員が理解すれば、仕組みがうまく働き始めるはずだ。
このコラムは、2011年12月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第236号に掲載した記事です。
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