充関門海峡利用し潮流発電機 北九州市が開発へ


 関門海峡の潮の流れを利用した発電機の開発に、北九州市が乗り出す。25日に発表した2011年度一般会計当初予算案に、潮流発電機の試作機1基の製作費1千万円を計上した。市によると、国内では潮流発電の実用例は
ない。東日本大震災や原発事故を受けて「脱原発」の声が高まるなか、新たな自然エネルギーの開発として注目されそうだ。

 市によると、関門海峡の潮の流れは最速の地点で秒速4メートル以上で、潮の向きは1日に4回変わる。潮流発電はこれを利用して海底に置いた水車を回し、電気を起こす仕組みだ。二酸化炭素(CO2)の排出はない。

 市が昨年度、関門海峡での潮流発電の可能性を調査したところ、航路や漁場などを避けて長さ10キロ超の海峡に、高さ1メートルの水車32万7千基を設置すれば、理論上は年間5万5千メガワット時の発電ができるという
試算結果が出た。同市若松区の約半分に当たる一般家庭1万6千世帯分の年間消費電力をまかなえる計算だ。このため「潜在的なエネルギーが眠っている」と判断し、地元の九州工業大学や企業と連携して試作機の製作に乗り出すことにした。

(asahi.conより)

 こういう取り組みが、チリも積もれば「脱原発」が実現するのかもしれないが、気の遠くなるような話だ。
たまたまなのか、故意なのか潮流発電の能力を、年間の発電量で表示してある。年間5万5千メガワット時というと、ものすごい発電量のように感じる。

原子力発電による総供給能力は4950万kWである。つまり4万9500メガワットだ。ここに数字のごまかしがある。潮流発電は年間発電量で表示してあり、原子力発電は発電能力だ。
従って同じ単位で比較すると、
年間発電量は
潮力発電:55000メガワット時
原子力発電:433.6百万メガワット時となる。

同規模の潮力発電所が7900箇所ほどなければ、原発一機分の代替えにはならない。

電力会社が、まとめて発電した方が効率が良いように見えるが「脱原発」を決意すると、各自治体、各個人がリサイクル可能なエネルギーで「電力自己調達」の努力を払わなければならないのかもしれない。

ところで私は、学生時代に波による発電実験に駆り出された事がある。
街の発明家(土建業の若旦那)の思いつきで、冬の内灘でいかだに乗せた波発電機を50mほど沖に引っ張って行き、発電が出来た証拠にパトライトを点灯させると言うデモンストレーションをした。

電子工学部の頭脳を期待されたのではなく、ウェットスーツを着て冬の日本海をいかだを引っ張って沖まで泳ぐという力仕事を期待された(笑)

ならば水泳部の学生を連れてくれば良かったのだが、貧乏学生だった私は何かと若旦那に恩義があり、冬の海を泳ぐ羽目となった。

溺れかけて必死だったのだが、肝心の地方新聞の記者が来ておらず、私たちのデモンストレーションは徒労に終わってしまった。


このコラムは、2011年5月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第207号に掲載した記事です。

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