工場移転


 フォックスコンの龍華工場が、内陸部に移転した。
20万人いるといわれた、フォックスコンタウンが一気に移転したわけだ。工場敷地内には、従業員の宿舎、銀行、レストランなどがあり、工場間を移動するための電気自動車が巡回している、という規模だ。
まさに一つの町が全部内陸部に移転してしまったということだ。

深セン地区の、賃金上昇が原因で労務費の安い内陸部に移転したわけだが、その賃金上昇を加速させたのがフォックスコン自身だったのが皮肉だ。つまり連続自殺騒ぎを、金の力で抑えようと賃金を倍にすると発表し、そのまま内陸部にトンズラした形になっている。

一頃ベトナムへの移転が騒がれた。当時ベトナムまで視察に行った知人が何人かあり、現地の様子を聞かせてもらった。また内陸部に移転を考えている工場もかなりあっただろう。

移転の資金がないのでここで頑張る、と自嘲気味に決意された経営者様のお話も伺った。

内陸部、ベトナム、ミャンマー、果てはアフリカに安価な労務費を求めて移転しても、労務費の上昇は時間の問題だ。つまり問題の先送りでしかない。

徹底的にムダをそぎ落とし、5年後でも戦える生産能力をつける。移転する費用で、LCA(ローコストオートメーション)に投資する。少数精鋭で、高品質、高付加価値、高フレキシビリティのモノ造りを実現することが、今手をつけなければならないことだ。


このコラムは、2010年10月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第174号に掲載した記事です。

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