お金は「ありがとう」を流通させる通貨


 毎月定例で深センと東莞でセミナーを開催している。
毎回セミナーの後に懇親会を持っているが、参加された経営者様、経営幹部の方との懇談が毎回非常に有意義だ。

先週はある経営者様からこんな話を聞いた。

営業職員が、受注額確保のために無茶な値引きをするので「お金の意味」を教えたそうだ。

 マクドナルドでハンバーガを買ったときに店員に渡すお金は、ハンバーグを作るために働いてくれた人全てに「ありがとう」を伝えるためのものだ。

 オーダーを聞いてくれた人、キッチンで調理してくれた人ばかりでなくパンを作るための小麦を育ててくれた人、牛肉を作るために牛を育ててくれた人皆にお礼をいわなければならない。
 だけど皆忙しく、農場や牧場まで行って御礼を言う暇はない。

 遠くにいる人にも「ありがとう」を届けるためにお金はある。
 
 自分達がいただいているお金も、自分達の製品を作るために働いてくれた全ての人たちに「ありがとう」を伝えるためのものだ。だからむやみに安く製品を販売してはいけないのだ。

これなら誰が聞いても良く分かるだろう。
こんな子供みたいな話を、と馬鹿にしてはいけない。我々日本人とは違う教育、環境で育った人たちだ。理解しあっているつもりでは足りない。お互いに一つずつ理解しあう努力が必要だ。

以前、営業職員が楽に売れる利益率の悪いモノばかり受注してきて困る、と嘆いている社長さんにお会いした事がある。
この方には、営業職員の目標を「売上高」ではなく「売り上げ利益」にしてはどうですか?とお話をした。

やさしい例で意義を教える。
目標をきちんと目的に合わせる。

この二つがそろえば、従業員は成果を出す方向で仕事をしてくれるはずだ。


このコラムは、2009年2月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第84号に掲載した記事に加筆しました。

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