タグ別アーカイブ: 工程内不良

判断基準を持つ

 本日は品質に関する判断基準について考えたい。

判断のスピードを要求される場合がしばしばある。量産ラインで工程内不良が発生。ライン停止の判断が遅れれば、不良の山を抱える可能性がある。一日の生産が完了し、工程内不良率を計算してから判断したのでは手遅れだ。

工程内不良の波及性の判断を間違えば、顧客に不良品を出荷してしまう。最悪の場合は市場回収が必要になる。

つまり判断の速度と、判断の妥当性を両立しなければならない。
判断を急ぐあまり、判断の妥当性が不足する。判断の妥当性を上げるために、判断の適時性を失う。こういう危険性を回避しなければならない。

例えば、工程内で不良が発生する。その時点ではその不良原因は不明であり、波及性の有無も分からない。この時点でどう判断するか?

安全側に判断をする、という考え方もあるだろう。しかしそのために納期遅れが発生したのでは、顧客に迷惑を与える。
不良原因や波及性がまだ不明な状態で、リスクを最小にする高度な判断が要求される。そのために高い給料を払って品質部長を雇っている(笑)という意見もあるだろう。しかし品質部長が会議中や食事中にもタクトタイムに従って製品は次々と流れている。現場で対応可能な判断基準を持たねばならない。

原因は不明でも、その不良モードが顧客や顧客の顧客(ユーザ)に与える影響で判断する。不良率を計算する前に、単位時間の発生頻度で判断する。などの判断基準を現場が持っていれば、自律的判断でラインを停止し、より高度な判断を待つ事が出来る様になる。

判断基準の原則は、1:安全、2:品質、3:効率、の優先順位を守る事だ。

例えば、顧客やユーザの安全に関わる不良が発生すれば、直ちにラインを停止。不良原因を解析し、他の製品に波及性がない事が分かるまで、生産を停止する。電気製品の生産ラインでは、耐圧試験が該当する。

連続して2個同一不良が発生したらライン停止。
2時間で同一不良が3件発生したらライン停止。(2時間置きに小休止をしていたので、2時間を単位とした)

生産開始時に「初物検査」をするのも同様の趣旨だ。


このコラムは、2016年9月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第494号に掲載した記事に加筆修正しました。

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対処療法

 先週指導先の生産現場で作業員がペンチの柄で製品をたたいているのを発見した.理由を聞いてみると金属製のケース上下を組み合わせると隙間ができてしまうので修正しているという.

まずはペンチの柄でたたくのを止めさせ,小さなプラスチックハンマーを持ってこさせた.
今回初めて量産試作する製品だ.ナゼ隙間ができるのか聞いても要領を得ない.

現物を見ると,金属ケースの加工が図面どおりでなく隙間ができているようだ.図面を持ってきて調べてみろといってもなかなか図面は出てこない.

そのうち品証の責任者が来て,このくらいの隙間ならばOKと判断して帰ってしまった.この工場では品証の役割は良品・不良品の判定だけのようだ.本来であれば,品証は図面と現物を見て現物がきちんと加工できているのか,設計は正しいのか判定しなければならない.その上で次回の生産からどう対応するか決定する.それが品証の役割のはずだ.

現在加工している製品をどうするか,どのレベルで良品と判断するかはたんなる「対処療法」でしかない.対処療法だけでは次回からの本格量産でも作業員は製品を叩き続けなければならない.これでは生産性を阻害するばかりではなく,新たな不良を作りこむことになる.

特に今回は量産試作なのだから,生産開始から設計,生産技,品証が合同で品質,加工性,作業性などについてきちんと現場でレビューをすべきだ.そうでなければ量産が開始された後も品質・生産性が改善されることなく生産を継続しなければならない.

この工場には,品質保証のあり方,商品化フェーズに合わせて何をすべきかなど初歩から叩き込まなければ,進歩はなさそうだ.


このコラムは、2009年7月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第107号に掲載した記事を修正・加筆したものです。

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工程を止める

 生産中に同一不良が大量に発生する。または顧客に不良が流出した。
原因や改善方法がまだ判明しない。しかし客先への納入が必要。この様な状況を経験された方は多いだろう。(経験したことがないという方は、ラッキーな方か、まだ経験が浅い方だろう)

タクトタイムで次々と製品が上がってくる工程で、同一不良が発生すれば、あっという間に大量の不良の山が積み上がる。
こういう状況になった時に生産を止められるかどうかで、その工程の監督者の力量が判断できる。当然顧客の要求納期に答えなければならない。生産を止めれば、納期遅延が発生する。このプレッシャーに打ち勝って生産を止めることは難しいだろう。

しかし冷静に考えれば、不良が発生したまま生産しても納期が間に合うとは言えないだろう。滞留する不良の山をあちこちに移動したり、修理要員を確保するなどが必要となり、生産効率も生産量も落ちる。
最悪の場合、工程内で発生した不良が顧客に流出する。

工程の監督者は、納期通りに「生産」をするのが使命と思っており、生産を止める勇気を持つことができない。しかし本来の使命は納期通りに「出荷」することである。したがって、納期通りに良品を生産しなければならない。

監督職が不良品の「処置」に奔走していれば、いつまでも不良は発生し続ける。勇気を持って工程を止め、不良原因を解析し対策を実施する事が必要な処置だ。


このコラムは、2017年10月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第579号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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