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「まちかど厨房」の応用

 先週のニュースで、ローソンが店内調理をした総菜やお弁当を販売する、と言う記事をご紹介した。街角にあるローソンを厨房にすると言う「まちかど厨房方式」を製造業で応用出来るか?と言うお題でアイディアを募集した。

今週は締め切りが早かったためか、お一人様しかメールがなかった。
メールを下さったF様、ありがとうございます。
では中国で電子製品製造業にお勤めのF様のアイディアをご紹介する。

※F様のアイディア

私たちは、情報関連製品を生産しています。生産工程の最後で、完成品を梱包してFQC検査の後、製品倉庫に入庫します。

「まちかど厨房」のアイディアは、私たち自身の工場のアイディアではなく、梱包工程を、梱包資材メーカーさんにすべて請け負っていただく、と言うアイディアです。

梱包資材は、組み立ててしまうとかさばり、輸送効率が悪くなり、倉庫での保管場所の確保が大変です。また組み立ててないと、梱包作業者が組み立てをする必要があります。

梱包資材メーカーさんの設備を持ち込むとなると、ちょっと大変ですが、出来上がった梱包資材を組み立てないで持ち込み、製品にビニル袋をかけ、化粧箱に取り説と一緒に梱包、集合梱包の段ボール箱に入れ封をする。

これを梱包資材だけではなく、作業員も合わせて提供していただければ、製品単価プラスアルファでも、ペイすると思います。

こういう発想は、梱包資材を生産しておられる方からは、なかなか出て来ないのではなかろうか?梱包資材を売っていると考えていると、この発想は出ない。「梱包」そのものをサービス提供すると考えるから出る発想だ。

こういう発想は、ユーザ側の方が思いつき易いのかもしれない。

「梱包」をもう少し拡大解釈すれば、製品保管、出荷輸送もサービス範囲に出来る。以前にも申し上げたが、「モノを売る」と言う考えからから、「モノを提供することにより、お客様の生産をサポートする」と言う考えに転換すれば、生産をするサービス業となる。

こういう考え方をすれば、同じ生産量でも売り上げ金額は上がる。

またお客様の現場に、ダンポール箱生産の設備を持ち込んでしまえば、そのお客様内での、シェア比率を上げることができるだろう。特に緩衝材などは、原材料で輸送すれば輸送費用は安くなる。

今回の「まちかど厨房方式」を総括すると、お客様の現場で、お客様の声を聞き、お客様の声にならない要求を見つけること。その要求を満たすことにより、お客様にとって欠かせない存在となることができる。


このコラムは、2013年10月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第333号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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「まちかど厨房」

ローソン、5000店で店内調理 カツサンドなど提供

 ローソンは2015年春までに、カツサンドやおにぎりを店内で調理する「まちかど厨房」を現在の3倍強の5千店に広げる。全店舗の半数にあたる。総菜・弁当工場で作った商品よりも価格、利益率ともに高い。コンビニエンスストアの既存店売上高が苦戦傾向にあるなか、できたての軽食を集客の目玉に据え、カフェやファストフード店から客を取り込む。

 まちかど厨房は、仕入れた食材を店員が店内で調理して販売する。「厚切りカツサンド」は398円と通常のサンドイッチの2倍近いが、厚さ2センチメートルのカツの食べ応えが人気。導入店舗のうち、早朝や夜間の利用も見込める店では調理パンなどのほかに、おにぎりや弁当など最大20品を扱う。

 店内調理品の1日の平均売上高は2万円で、購入した客の平均客単価は購入していない客に比べて2~3割高いという。

 現在は1500店で展開しているが、13年度末に2500店、14年度末には5千店と全店の5割程度に引き上げる。

 導入店では店員の休憩スペースなどを割いて、5~10平方メートルの調理スペースを確保する。年900店程度の新店の大半にはあらかじめ設け、加盟店のオーナーに働き掛けて既存店の改装を促す。費用は200万円程度。

 並行してローソンは、いれたてコーヒーの導入店を13年度末に8千店と現在の2倍に増やす。コーヒー導入店にまちかど厨房を組み合わせ、カツサンドなどとの同時購入を促す。ファストフードやカフェの客を取り込む狙いだ。

 店内で調理したできたて商品の提供では他のコンビニエンスストアにも広がっている。サークルKサンクスは全店舗の4割にあたる約2500店でコロッケや春巻きなど主に揚げ物を扱い、夕食のおかずとしての利用を見込む。ミニストップは全約2200店で、店内で握ったおにぎりや空揚げなどを販売している。ただ、最大手のセブン─イレブン・ジャパン、ファミリーマートは現段階で、店内調理品を手がける予定はないという。

(日本経済新聞・電子版より)

 いつもと毛色の違うニュースを取り上げた。実はこれには、チョットした理由がある。
先週読者様からこんなメッセージをいただいた。

※K様のメッセージ

 大変面白い企画でした。経営コンサルタントをしていますが、企業や経営者が自社の製品・商品が売れないと嘆くだけで、逆に何故売れないのかを考えればその結論の反対をすれば売れる可能性が見えてきます。他社事例では良いアイディアが出るのに、自社については余り真剣に考えていないように感じます。
できればこのような企画を今後も希望します。

先々週「靴下拡販」のお題を出し、読者様のアイディアを先週のメルマガでご紹介した企画に、上記の様なご感想をいただいた。

読者様のご希望があれば、何としてでも応えようと言う姿勢で、メルマガを書いている。と言う訳で、第二弾だ(笑)

コンビニのファーストフード店化は、とどまる所を知らない様だ。
コンビニの淹れたてコーヒーの販売は、ドトールコーヒーやスターバックスにとって脅威だろう。コンビニの場合、コーヒー単体で利益を出さなくても、ついで買いの商品が沢山並んでいる。そう考えれば、戦略的にコーヒーの利益率を下げておくこともできるが、コーヒーショップは、コーヒーがメインの売り物だ。そういう価格競争に乗る訳には行かないだろう。

定食屋「大戸屋」は、セントラルキッチンを持たず、食材のカットから店舗での調理に徹していると聞く。さすがにコンビニでここまでは出来ないだろう。各店舗の厨房に対する投資が大きくなる事と、味を均一に保つ事が難しい。

「まちかど厨房」は他店との差別化、それによる売り上げ・利益率のアップを狙う作戦だろう。

さて、この作戦を我々製造業に応用してみよう。
製造業はほとんどの場合B to Bであり店舗などない。ここで考えを止めてはだめだ。更に一歩深く掘り下げる。

店舗とは「売り場」である。しかしこれは売る側の論理であり、消費者の立場から考えれば、店舗とは「買い場」である。

製造業にこの論理を当てはめれば、「買い場」とは「納入先」であり、お客様の「製造現場」であるはずだ。こう考えた場合、ニュースに取り上げた事例は、製造業にとって、お客様の製造現場で生産する、と言うことになる。

【今週のお題】
「まちかど厨房」のアイディアを製造業に応用してみよう。

ヒントとして実例を挙げよう。
タイヤメーカは、車メーカの組み立てラインの横にタイヤのミニプラントを持ち込み、車にタイヤを組み付けるタイミングでタイヤを生産する。こうすればタイヤの中間在庫は最大で4本しかなくなる。究極のJIT生産だ。ムダな在庫も輸送費もなくなる。

読者様の奇抜なアイディアをお待ちしている。


このコラムは、2013年10月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第332号に掲載した記事を改題・加筆しました。

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靴下の拡販

先週のニュースで、国内ががんばり続けている靴下メーカが「滑らない靴下」を受験生マーケットに投入した話を、ご紹介した。
滑り止め機能付きの靴下を受験生に売ると言うアイディアはすばらしいが、市場規模が小さすぎる懸念がある。そこで、日本国内でがんばっている靴下メーカを応援するために、滑らない靴下を拡販するための新たな市場創造のアイディアを読者様に求めた。

二名様からアイディアをいただいた。ご紹介したい。

※上海のN様のアイディア
いつもメールマガジン楽しみ読ませてもらっています。
今回の「滑らない靴下」を継続的に購入して頂ける方法を考えてみました。
なかなか参加できないですが、東莞和僑会メンバーなので投稿します!

  1. 「すべらない靴下」のポイントは「使用者」と「購買者」が分かれている事がポイントだと思います。
    受験生がすべらない靴下を買うと考えると購買機会が限られてしまいます。しかし、両親、祖父母、親戚、友人が「ギフト」として贈ると考えると購買機会はぐっと増えます。特に高齢者に訴求できるように、老人ホームや老人会カラオケサークルや俳句会など高齢者が集まりやすいサークルに絞ってチラシやDMをすれば、販路は広がると思いました。
  2. 靴下全体で継続購入してもらえる付加価値として、最近私は1枚900円の靴下を買った経験があります。ユニクロで買えば三足1000円で買えるこのご時世に1枚900円で買ったのは、ロッククライミングシューズ専用の靴下です。
    素足のように薄く、それでいて縫い目が少なく、汗の吸収性、抗菌性が高い靴下です。ロッククライミング自体は日本ではマイナースポーツですが、世界にはたくさんのプレーヤーがいます。クライミングシューズで有名な企業とタイアップして販売すれば、世界的に自社販売網を持っていなくても、販売しやすいかもしれません。

頭の体操として、こんな方法を考えてみました。

※深センのN様のアイディア
こんにちは。
部外者ですが、宿題をもらいました(笑)
・・・・無料で楽しい話題をいつももらってる引け目もあって(爆)

靴下、くつした、さて自分は靴下をどういう視点で見ているか。

  • 足先と踵の部分が擦り減ってきたらそろそろ何か買うかな。
  • スーツだろうがなんだろうが、オヤジ臭い靴下はイヤだ。
  • 柄は女子にモテル系orウケル系、つまり自分では選ばない。嫁や娘に選ばせる。
  • 夏場は若者風の短いの、冬場は暖かめの。
  • 足が臭い、加齢臭が気になる年頃(笑)

こんなことを考えてみると、『女子が選ぶ、お父さん、お兄ちゃん、弟に、息子に履いてもらいたい靴下』 がキーワードかな。

炭効果で臭い防止みたいな靴下を見たことありましたが、デザインがまったくいけてない。

今回の事例、滑らないということは相手側、つまり靴のインナーへの影響はどうなのだろうか。滑らないということはインナーへの負担が心配。

一方女性陣ではどうだろうか、
男性にもてたい靴下選び、とは思わないだろう。
いかにかわいいか、履き心地がいいか、安っぽい生地はいやだ、そんなところだろうか。
ユニクロのヒートテック靴下・・・・、優れているのにかわいいデザインが揃えられていない。

今回の宿題は 『継続的に購入していただける付加価値』 だ、かわいいだけでは長続きしまい。
やはり機能美を追求したい。

  • 保温性に優れ
  • 生地は薄くても長持ち
  • 相手側の靴の種類を選ばない
  • 加齢臭を抑制できる
  • お客様のデザイン提案に対応できる(デザインオーダーメード)

・・・・過日のシルシルミシルで今は靴下裁縫は自動機なのでデータがあればデザイン対応できると見ている

そんな企画を提案します。

ソーシャルモノ造り分科会のメンバーは,必ず宿題提出などと書いたので誤解をさせてしまったかもしれない(笑)私は、このメールマガジンの読者様全員を、仲間だと思っている。

たかが靴下、それをどうすれば売れるか考える。
良い頭の体操になったのではないかと思う。

お二人に共通している「靴下は使用者本人が買うのではない」と言う指摘は、なるほどと関心した。何度か靴下を自分で購入したことがあるが、出張中・単身赴任のため、やむを得ず自分で購入した。普段は家内が買って来る。と言う事は男性用靴下を選択しているのは、女性が大半を占めていると考えた方が良いかもしれない。

私の場合、衣類もほとんど女性陣が選んでいる。家内、娘だけではない、母親も含まれる。推定年齢88歳の母親でさえ、未だに「かわいい」は重要らしい。靴下にも、女性目線の「かわいい」を入れる事は重要かもしれない。

靴下のデザインは女性がした方が良い。と言うのが結論になろうか(笑)
デザインに関しては「個」への対応がキーワードになると思っている。世界に一つしかない靴下だ。IT技術と、生産の電脳化が出来れば、意外と簡単だろう。

もう一つのお二人の共通点は「機能」だろう。
スポーツへの応用は、クライミングだけではなかろう。ランナーも靴の中が蒸れる対策を必要としている。私は蒸れるのを通り越し、汗で濡れてしまう。これを解決すれば、ランナー市場が手に入る。

これを解決出来れば、受験生市場よりは大きな市場となろう。しかもリピートが期待出来る。受験生市場では、リピートは考え難い。幼稚園のお受験を入れたとしても生涯5回しかない。しかも途中で失敗すれば、残りのリピートはない。受験生の合格不合格は企業にとって神頼みであり、企業が努力しても改善出来る話ではない。

保温に着目すれば、スノボー、スキーにも使える。昔はウールの厚手の靴下を着用したモノだが、最近はブーツのインナーが改善されており、薄手の靴下の方がフィット感は良い。

スポーツへの応用を検討する、と言うのが二番目の結論か。

靴下が滑って困ると言う経験をした事がないが、運動能力が低下している老人には良い機能かもしれない。デイケアセンター、老人ホーム等館内はスリッパ着用となっている所も多い。スリッパを止めて、滑らない靴下着用とする。と言うアイディアを思いついた。

最後の結論は、お年寄り御用達。

大変面白い議論が出来たと思う。こんな所から実ビジネスのアイディアに発展すれば、もっと面白いが、少なくとも頭の体操が出来た。頭も筋肉も、使えば使うほど鍛えられる。またこんな企画を考えてみたい。


このコラムは、2013年10月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第331号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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「滑らない」靴下

受験「滑らない」靴下、本当に滑らない 特殊技術に自信

 【小林正典】受験生に「滑らない」靴下を──。靴下の産地、奈良県大和高田市にあるメーカーが「合格印ソックス」を開発した。単なるだじゃれにあらず。特殊な滑り止めの技術は共同特許申請中。地元の神社で合格祈願してもらった「ほんまもん」だ。

 靴下の滑り止めは従来、足裏部分に外側から樹脂のいぼを付ける手法がほとんど。ただ、長時間歩くと足裏が痛くなることも多い。ポツポツの浮かぶデザインがやぼったい、と若者にも敬遠されがちだった。
 「西垣靴下」では、滑らない素材、ポリウレタンを編み込む新技術を素材メーカーなどと開発。滑らない糸は編み機に引っかかりやすく、編むのが難しいとされてきたが、この技術により靴下の中でも足が泳ぎにくくなった。

 技術を生かすアイデアは若手社員から出た。3月の開発会議で、当時入社1年目の雁野(がんの)ほのかさん(23)が「滑らないといえば受験」と提案。地元の神社「龍王宮」の協力も取り付けた。白と紺のほか、アーガイル柄4色の計6種類。神社名にちなみ、昇り竜の銀色のマークを付けた。
 雁野さんは「私も受験の時は苦労した。靴下は実際に身につけて臨めるので、心強いはず」。関連会社「エコノレッグ」がインターネットを中心にミニ絵馬とセットで販売中だ。限定400足で、価格は1509円(税抜き)。

 奈良県靴下工業協同組合によると、県の2012年の靴下生産量は、全国の約57%を占め、全国トップ。だが1991年のピークからは約4分の1に減った。西垣和俊社長(55)は「海外の製品と価格競争するのではなく、この商品を入り口に、メードイン奈良の靴下の良さを認識してもらいたい」と話した。

(日経新聞電子版より)

 靴下と言えば、既に中国生産を通り越えてベトナムに行ってしまっただろう。コストだけを考えていれば、こうならざるを得ない。製品の付加価値をいかにして高めるか?と言うのが課題になる。

付加価値と言うのは、機能価値の事だけではない。例えば滑らない靴下が、通常品の倍の値段で売れるか?私自身靴下が滑って困ると言う経験をした事がない。滑り止めと言う機能には、倍の価格を支払う付加価値はないだろう。

ファッション性、話題性など機能とは別の所にも付加価値が生まれる。

靴下と言うのは、実に地味な商品だと思う。文字通り足元を支える物であり、靴下が主役になる事はほとんどない。

以前山梨にある機械メーカを訪問したことがある。駅から工場まで乗ったタクシーの運転手さんが、鮮やかな黄色の靴下をはいていた。ファッション的には,常識はずれのひどい選択だ。目的地の工場に到着して分かった。この街を本拠地としている機械メーカの企業色が黄色だったのだ(笑)社屋の外壁が全部黄色だった。

靴下が自己主張する場面と言うのは、極わずかだろう。
そんな気の毒な靴下に機能以外にアイデンティティを与えたのが受験靴下だ。しかし残念ながら、ビジネスとしての規模を持てるかどうかはかなり微妙だ。受験生向けの商品で話題を作り、会社を認知していただく。その後継続的に買っていただける商品を開発する事が必要だ。

さて、靴下と言うコモディティ商品をどうしたら継続的に購入していただける付加価値を持たせることができるだろうか?あなたもぜひ思考訓練をしてみていただきたい。
アイディアはこのメールに返信する形で送っていただきたい。優れたアイディアは、このメールマガジンで紹介したい。

なお、ソーシャルモノ造り分科会のメンバーは率先してアイディアを投稿いただきたい。一人一件ノルマだ(笑)


このコラムは、2013年10月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第330号に掲載した記事を改題・加筆しました。

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