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中国に於ける企業研修

今回のニュースは広東省・東莞のローカルTV放送からピックアップした。

東莞市南城区南城歩行街の国美電器店前で、化粧品の街頭セールスをしていた女性が製品を買ってもらえないと分かると、突然1元を物乞いしたというのだ。

実はこの女性は化粧品販売会社の新入社員であり、街頭セールス+物乞いが新人研修になっているという。

日本でも繁華街に立ち大声で自分の名前を連呼するなどという研修がひところ話題になった事がある。たんなる「根性養成式」の研修ではあまり効果がないのではないだろうか。最近ではこの手の研修を聞かなくなってきた。

中国でのこの研修は、製品が売れるか20元もらうまで帰る事が出来ないそうだ。
(私の中国語聞き取り能力ではそう理解できた)

本当にこういう形式の研修が有効なのかどうかは理解に苦しむ。
街角でこんなセールスを受けた人間は、その化粧品のブランドに良いイメージを持たないであろう。

ブランドイメージを捨ててまで取り組む研修の目的は難だろうか。
一人っ子政策以降の我儘に育った若者を鍛えなおすのが目的なのであろうか。

街角で中学生くらいの少女が「帰るためのバス代6元をめぐんで下さい」と路上にチョークで書いて座り込んでいるのを良く見かける。ちゃんとした身なりの娘である。

しかしどうも腑に落ちない。チョークを買うお金を持っていたのならば家に電話をする事が出来たはずである。ひょっとしてこれは甘やかされて育った子供を鍛えなおすための課外授業の一環なのではないかと邪推してしまう。


このコラムは、2008年7月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第44号に掲載した記事です。今でもこのような研修が行われているとは思えません。少なくとも路上で物乞いをする少女は見なくなりました。

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安全教育

 どの企業も事故の未然防止の一環として安全教育を実施しておられるだろう。
例えば粉塵爆発。アルミニウムの粉塵や、小麦粉の粉塵は一定の条件がそろうと爆発する。当然そのような業界で仕事をしておられる方には、既知のことであり、対策をしっかりし、新人にも安全教育をしておられると思う。
しかしそのような事故は、門外漢には分からないことだ。事故は繰り返し発生している。

失敗学の大家、畑村教授も学部に進学してきた学生にご自身で安全教育をしておられる。学生にとって思わぬところに危険があることを知ることは重要だ。
しかし教える側にとっては、毎年同じことを話しておりマンネリ化してしまうと、畑村教授は自省しておられる。毎回同じことを話す繰り返し作業をする者の気持ちが、教育対象者に伝わってしまうものだ。

教師は毎年新しい学生に同じことを教え続けなければならない。10年間同じ講義ノートを使い続けるなどということもあるだろう。こういう教授の講義を受ける学生は退屈を感じる。(これは畑村教授のことではなく、私の体験であることをお断りしておく)

企業の安全教育も同様な事に陥る事があるはずだ。しかし安全事故は絶対に防止しなければならない。

私の工場経営の師匠である原田則夫師は、新入社員教育を入社2年目の社員にさせていた。新入社員は一つ上の先輩から教わる。下手をすると教育係が年下になることもありうる。しかし教育係を買って出た社員は、昨年学んだことを自分の目線で話をする。講義に先立ち昨年学んだことを再学習する効果もある。教わる側も、はるかに年長の部長さんから教わるより、同年輩の先輩から学ぶ方が、親近感を持てるだろう。

参考:原田則夫

教育係に丸投げしたのでは、効果は期待できない。
教育係をチームにし、教え方を研究させる。研修内容・効果を確認しフィードバックする。このようなやり方で研修効果を上げるだけではなく、意欲のある班長候補が育っていくはずだ。


このコラムは、2018年3月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第640号に掲載した記事に加筆修正しました。

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