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“出来ない”を叱らない

 赤字企業再生師・長谷川 和廣氏の「社長のノート」という本を読んだ。

この本の中に「出来る/出来ないを叱らない、やる/やらないを叱る」という言葉が出てきた。

部下に対して「出来る/出来ない」を叱ってはならないということだ。部下が仕事を出来ない、ということは上司に責任がある。上司がきちんと方法を教えていない場合がほとんどだ。

仕事の目的と意義をきちんと教え、作業方法を指導する。初めに手間はかかっても、ここをきちんとやれば、後が楽になるはずだ。

部下の仕事がうまく行っていないときに「頑張れ」と励ましても意味がない。部下は頑張れと励まされても、何をどうしたらいいのか分からなければ、頑張りようがない。ナゼうまく行っていないのかをきちんと分析し、足りない部分を補ってやる。これがOJT(On Job Training)だ。

現場に放り込んで、「頑張れ」と励ましただけではOJTにはならない。放っておいて「仕事が出来ない」と叱るのは、おかしい。

特に中国で仕事をしている場合、あなたの部下はあなたが想定している以上に分かっていないことが多い。

農村から出てきた作業者が、コンピュータのキーボードを水が滴る雑巾で拭き掃除をしても、叱ってはならない。コンピュータを初めて見る人間に、「掃除をしておけ」と作業指示だけした上司の方が間違いだ。掃除の仕方から教えないといけない。

学歴や経験のある職員でも、同様なことはある。例えば「QC七つ道具を知っている」という職員を集めて、何かやらせてみてもうまくは行かない。「知っている」と「使える」は全然別の事だ。
「生産が間に合わない」という問題の原因として「注文が多すぎる」という分析をしたりする。
※これは実は日本人でもしばしば間違う。本当の原因は「注文が多すぎる」ではなく「生産能力が足りない」だ。

日本でもQCC活動が下火になり、工場勤務の日本人若者にもQC七つ道具が使えない人が多くなっていると聞いている。そういう人たちに「出来る」を一方的に期待するから、失望と不満が発生する。これが往々にして怒りとなり、部下を叱ることになる。

出来ないことがあれば、教えることにより成長する。チャンスだと思えば失望や不満は発生しない。もちろん出来るのにやらない場合は、きちっと叱らねばならない。叱るという行為は相手の成長を願ってするものだ。


このコラムは、2010年8月に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第165号に掲載した記事です。

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