月別アーカイブ: 2021年6月

老者を安んじ、朋友を信じ、若者を懐けん

yányuānshì(1)yuē:“yáněrzhì。”
yuē:“yuànchēqīngqiú(2)péngyǒugòngzhīérhàn。”
yányuānyuē:“yuànshànshīláo。”
yuē:“yuànwénzhīzhì。”
yuē:“lǎozhěānzhīpéngyǒuxìnzhīshàozhě怀huáizhī。”

《论语》公冶长第五-26

(1)侍:傍に立ってかしずく
(2)衣轻裘:上着や軽い毛皮の衣服

素読文:

顔淵がんえん季路きろす。いわく:“なんおのおのなんじこころざしわざる。”
子路しろいわく:“ねがわくはしゃ軽裘けいきゅうを、朋友ほうゆうともにし、これやぶりてうらからん。”
顔淵がんえんいわく:“ねがわくはぜんほこることく、ろうほどこすことからん。”
子路しろいわく:“ねがわくはこころざしかん。”
いわく:“老者ろうしゃこれやすんじ、朋友ほうゆうこれしんじ、少者しょうしゃこれなつけん。”

解釈:

孔子が季路(子路)と顔淵に向かって志を問うた。
季路は仲間と物を分け合い、それを破損しても怒らない様にしたい、と答える。
顔淵は良い点を誇ることなく、労を衒うことなく自分がなすべきことをやりたい、と答える。
季路に問われた孔子は、老人の心を安らかにし、朋友とは信を持って交わり、年少者には親しまれたい、とだけ答えた。

下村湖人は「論語物語」の中で次の様に解説しています。
孔子の言葉は季路にはあまり響かなかった様だが、顔淵は自分の考えに自己中心的な面が残っているのに対し、孔子の考えが他者中心であることを知り、自分の足りなさを恥じた。

続々・研修の目的

 二週間続けて研修の目的について考えてみた。

「研修の目的」
「続・研修の目的」

「研修の目的」では、研修開催は目的ではなく、何らかの問題を解決するための手段であるという趣旨のことをお伝えした。
先週の「続・研修の目的」研修を開催できない事例をもとに、研修を開催できない理由が課題となる。例えば「生産が逼迫しており研修を開催できない」は生産能力が不足しているという課題である。

では、現場のリーダが研修を受ければ生産能力が上がるかといえば、そんな美味しい話はないのである。身も蓋もない話で申し訳ないのだが、研修を受けて満足した。研修を受けて知識が増した。しかし何もしなければ、研修の成果はない。
研修の目的は得た知識を能力として活用(行動)することだ。それによって受講生が持っている課題を解決することが研修の本来の目的だ。

我々が現場改善のお手伝いをするもの同様だ。生産性改善、不良削減などの目的を達成するだけでは不十分だ。顧客のメンバーの能力と意欲を向上し、改善が継続するようにすることが必要だ。


このコラムは、2021年5月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1143号に掲載したコラムです。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

社内研修

 私の本来の仕事は、現場の改善だ。現場の改善を通してお客様の生産性、品質を向上させ、業績に貢献する。そしてその活動を通してお客様の改善リーダを育成する。
そういう仕事を中心としているが、研修室での社内研修もしばしばお手伝いすることがある。現場での経験はできないが、演習を疑似体験とすることにより、知識だけではなく、能力が付くように工夫している。

そういう仕事を通して、お客様の教育担当者と話し合うことがある。

あるお客様では、社外講師による研修テーマを、受講生のアンケートで決めているた。これには非常に驚いた。
確かに、受講生に興味があることを教えれば、効果は高いだろう。
しかし経営者が、どういうことを勉強して欲しいと願っているかが、優先するはずだ。研修を通して、経営者が必要と考えている知識を従業員が得る。その結果従業員の行動が変わり、業績に貢献できるようになる。

社内研修をすることが目的ではない。
社内研修は手段であり、目的は業績への貢献だ。

研修の効果を直接業績数字で評価することは、困難だ。
往々にして、研修の目標を、年間○回開催、研修参加率○○%以上などと置いてしまう。要は研修が○○人・回以上行われた、ということが目的となってしまっている。ここが間違いのスタートではないかと考える。

こういう目標を持つと、研修参加者をたくさん詰め込むことになる。○○人・回という目標に対し、コストパフォーマンスを高めたいという意向だ。演習を中心とした研修では、参加人数が多すぎると教育効果は落ちる。

業績に無関係の目標を置いているから、売り上げが落ちたら研修を取り止める。生産が忙しい時にも研修を取り止めることになる。売り上げが落ちて、定常業務が暇になっている時などは研修の絶好のチャンスのはずだ。

直接業績数字に結びつかなくとも、研修の効果を測定する方法はあるはずだ。
例えば研修後に、どんな行動が取れるようになったか観察すればよい。研修の結果期待すべき行動があるはずだ。その行動が開発もしくは強化されるように、研修を設計する。
そして研修後行動が強化されていることを、フォロー観察する。

ものすごく大変な作業に思われるだろうが、それが本来の仕事のはずだ。
能力は一人ひとり違う。研修の効果も一人ひとり違う。それをきちんと計測しなければ、研修の効果は分からないはずだ。

研修テーマを受講生のアンケートで決めてしまうのではなく、必要な研修テーマを決め、研修内容を設計し、効果測定・フォローの方法を考える。こういうことを一緒にお手伝いさせていただくのが、我々の仕事だと考えている。


このコラムは、2011年10月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第227号に掲載したコラムです。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】