子曰:“不曰如之何如之何者,吾末如之何也已矣。”
《论语》卫灵公第十五-16
素読文:
子曰く:“之を如何せん、之を如何せんと曰ざる者は、吾之を如何ともすること末きのみ。”
解釈:
孔子曰く:“どうしたら良いかと常に自ら問わぬ様な人に、私はどうしたら良いかわからない。”
どうしたら良いか自ら考えずに、上司、先輩にどうしたら良いかと問う人も同罪です。
子曰:“不曰如之何如之何者,吾末如之何也已矣。”
《论语》卫灵公第十五-16
素読文:
子曰く:“之を如何せん、之を如何せんと曰ざる者は、吾之を如何ともすること末きのみ。”
解釈:
孔子曰く:“どうしたら良いかと常に自ら問わぬ様な人に、私はどうしたら良いかわからない。”
どうしたら良いか自ら考えずに、上司、先輩にどうしたら良いかと問う人も同罪です。
私が幼少の頃、母方の祖父が亡くなった時は電報で連絡が来た。今の若者で「ウナ電」という言葉の意味を知っている人はいないだろう。
電報どころか葉書を出す機会もほとんどなくなった。
私が学生の頃はコンピュータといえば工学部の計算機室に控えており、利用者はパンチカードを持って利用しに行った。
学会に参加した時に京都大学(だったと思う)の人が、インテル8080を使って実験データを実験中にその場で処理した、という発表を聞いた。
東京の企業に転職し、DECのミニコンで開発しているのを目の当たりにした。
地方都市の零細企業との差を実感したが、ミニコンのプログラム開発がラインエディタで行われているのに驚いた。当時からAPPLEはスクリーンエディタが使えた。
技術が進歩すれば、ルールも変わる。
通信技術の進歩により、電報は電話になり、手紙はメールとなる。
さらにコンピュータ処理はオンデマンドが当たり前となり、電車の乗車券は電子決済となった。
新しい技術には新しいルールを適用しなければならない。
コンピュータの活用は、バッチ処理からオンデマンドになった。つい最近まで発注伝票の処理が毎週末にバッチ処理するルールになっている企業があった。この企業に納品する会社は、週末に納品しに行ったら発注キャンセルと知らされ翌週月曜日に納期変更の伝票が届く、と愚痴をこぼしていた。
またMRPシステムを導入したが、一向に部品欠品や余剰が解決しない。原因を調べてみると、MRP導入後在庫管理を従来と同様に月に一回しか実施していないことが原因と判明した。MRPがあれば、棚卸しをしなくても在庫数量は正確に分かる。入出庫のたびに在庫確認ができるはずだ。
このコラムは、2021年3月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1107号に掲載した記事です。
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【中国生産現場から品質改善・経営革新】
「物事はシンプルである」エリヤフ・ゴールドラット博士の「ザ・チョイス」の根底にある考え方だ。
例えばパン屋さんは閉店時間が近づいて、売れ残りそうなパンばあれば値引きして売り切ろうと考える。逆に閉店前に売り切れてしまえば、販売チャンスを失う。
したがってパン屋の経営者は、「売れ残りがない」「売り切れがない」と、相反する目標を達成するために知恵を絞る。
顧客の需要が正確にわかれば、それに合わせて仕入れをすれば良い。
例えば地域全体のパンの需要動向が日々わかっていれば、連動させ仕入れ数を決めればいい。しかしそのような統計データはないだろう。日本全体の需要量、季節変動、曜日ごとの変動などがわかれば、予測はできるかもしれない。しかしそのデータは、明日自分のパン屋で売れるパンの数ではない。
パン業界という大きな塊で考えれば、需要予測はつくだろう。しかしその中の小さなパン屋では、変動要因が複雑でバラツキが大きくなる。実用的な予測は不可能だろう。
この問題はパン屋一軒ごとの問題ではない。パン屋は売れ残りを嫌って仕入れを少なめにする。多くのパン屋に出荷している製パン工場にとってみれば、大きな販売機会の損失となる。
売れ残った商品を割り引いて引き取る。という対策を製パン工場は考えた。
同業者も真似をし、割引率の引き上げという不毛な競争に陥った。
ここで「需要の予測は不可能である」とシンプルに考える。
製パン工場は1日一回だった出荷を、朝と昼の二回に変更した。
パン屋は午前中の売れ行きを見て午後の注文を確定する。午前中に売れ切れた場合は「お昼に用意しておきます」と顧客に言うことができる。顧客は親切なパン屋だと誤解(笑)するだろう。
顧客満足→パン屋の繁盛→製パン工場の業績向上の連鎖が完成する。
「顧客需要の予測」という恐ろしく複雑なことを「顧客需要は予測不可能だ。ではどうすればいいか」とシンプルに考える。
障害は時として、競合他社との競争に打ち勝つ障壁となる。
このコラムは、2021年3月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1115号に掲載した記事です。
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【中国生産現場から品質改善・経営革新】
このメールマガジンの読者様の大部分は、製造業に関わる方だと思う。工程内や市場で発生する不具合の解析をされたご経験も多いだろうと思う。
現在進行中のQCC道場でも何チームかが工程内不良、客先不良の低減をテーマに取り組んでいる。工程ごとの検査がない製品や、客先・市場で発生した不良はどの工程に問題があるのかを特定するのが難しくなる。
工程ごとに検査をして次工程に送る製品であれば、どの工程でどんな不良が発生するかがわかり、原因の特定も容易になる。しかし工程ごとの検査がないまたは抜き取り検査で次工程への移行を判定するような製品だと、手がかりとなるデータがない。
客先発生の不良も同様の手がかりが得られるが、市場不良の場合はさらに最終顧客の環境ファクター(取り扱い方法も含む)も加わるため、より手がかりが少なくなる。わずかな痕跡から真因を推定することになる。
いずれの場合にせよ、推定した原因が正しいことを検証しなければ正しい原因推定とならず、対策しても再発することになる。
例えば金属加工製品で、顧客工場でバリがある製品が見つかる。従来抜き取り検査で済んでいたものが全数検査、しかも検査部門の検査を要求される。
こうなると、不良品のロスだけではなく、検査費用もロスとなる。しかも発生頻度が少ない不良であれば、検査見逃しのリスクもある。全数検査の上で流出したら、一気に顧客の信頼を失うことになる。
バリ発生のメカニズムを特定できれば、改善は容易だ。バリが発生する要因を列挙し、各々の要因で再現試験をしてみる。
例えば金型をプレス機に組み込む精度でバリが発生すると仮定する。
X,Y,Z軸方向、垂直方向の角度、水平方向の角度などわざと振ってみる。もちろん生産できない(金型が破損する)レベルまで振る必要はない。
どのパラメータの変動が不良率の増減に影響があるかを突き止めれば、厳しく管理しなければならないパラメータが分かるはずだ。
このコラムは、2021年5月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1134号に掲載した記事です。
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【中国生産現場から品質改善・経営革新】
中国のコロナ感染もひと段落したと感じていたが、広州で感染者が発見され、ついで佛山、深センでも感染者が出た。広東省では一気に厳戒態勢に戻り、全住民の一斉PCR検査を開始した。
私が住んでいる小区(日本で言えば町内会?)でもPCR検査を受けるよう指示がでた。小区指定のPCR検査会場に行ってみると、大勢の人が検査会場の外まで行列しており、恐れをなして引き返した(笑)
代わりに事務所の近所にある会場に行くと受診者は大勢いるが、検査員が多いため行列は粛々とはけている。
PCR検査の手順は以下のとおり。
7.8.はさらに詳細手順が決められていると思われるが、我々には窺い知るすべはない。
手順を決めておかないと、大規模検査で混乱が発生するだろう。(日本ではワクチン摂取の予約段階で混乱が発生したと聞いている)
1000万人ほどの人を対象として3日間で検査をする。きちんと手順を決めておかねば大混乱するはずだ。ほぼ完璧な手順のように見えたが、現場を見ると大きなリスクが残っていた。私が並んだ列の係員は検体採取作業者の側で個人情報の確認をしないで、次の十人を並ばせた時点で個人情報のスキャンを完了してしまった。
そのため列の順番が入れ替わる、傍から人が入ってくる、などの事態が発生すると、検体と個人情報の紐付けが狂ってしまう。現に私の横の列にでは、柵外から入ってきた人が列に割り込んでいた(苦笑)
別の大規模会場の動画を見るとほぼ同じ手順で行われていた。しかし別の会場では個人情報のスキャンは検体採取の直前に行われており、検体と個人情報の整合性は保たれているように見える。
多分大筋の手順設計者は横入りや、順番の入れ替わりが起きることを想定していなかったのだろう。この場合現場の作業管理者、実作業者が気がつかねばならないのかもしれない。作業指示だけでは気がつかないだろう。その作業の意味を現場に伝えなければならない。
このような観点で、工場での作業手順書を見直してみる価値があるだろう。
このコラムは、2021年6月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1150号に掲載した記事です。
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