自動車部品大手の曙ブレーキ工業は16日、自動車メーカーに提出する製品の検査報告で、データを改ざんしたり、未実施の検査データを記載したりするなどの不正があったと発表した。少なくとも2001年から行われていた不正は約11万件にのぼる。ただ安全性は確保されているとしており、自動車大手による大規模なリコール(回収・無償修理)には発展しない見込みだ。
検査不正があったのは、主力製品のディスクブレーキやブレーキパッドなど4製品。国内の6工場中、4工場で不正が見つかった。01年1月から20年5月まで自動車メーカーに提出した検査報告19万2213件を再調査したところ、約6割に当たる11万4271件で不正があった。うち4931件はメーカーが求める誤差を超えていたが、国の保安基準に定められた性能は確保されており、いずれも安全性に問題はないという。
宮地康弘社長は16日のオンライン会見で「安全に大きくかかわる製造業であってはならないこと。全力で信頼回復をはかる」と陳謝。自動車メーカーによる「リコールにはならないと聞いている」と話した。(朝日新聞より)
2月17日付のニュースだ。
以前完成車メーカのブレーキ検査不正についてメルマガに書いた。
「検査不正・罰則強化へ」
罰則規定がなければ、決められた事を決められた通りにできないのかと、日本の完成車メーカの品質管理について苦言を呈した。
大元のブレーキメーカでは、完成車メーカの不正検査が報道され、罰則強化により再発防止がされたのを知りつつ、自社では検査データの改竄、検査データの捏造などがまかり通っていた。
「他山の石」どころではない、同じ業界、顧客の不正に対してなんら顧みる事事なく自ら不正を継続していたわけだ。現場で行われていた不正に、部門長も経営陣も気付いていなかったのだろうか?
少なくとも完成車メーカのブレーキ検査不正が明らかになった時点で、自社内の再点検があってしかるべきだと思う。
他人の失敗から学べば、自ら傷を負うことはない。
自分が傷つかなければ学べないようでは、命がいくつあっても足りないだろう。
「日本の品質」を誇りにすることはもうできないのかも知れない。
残念なことだ。
このコラムは、2021年3月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1105号に掲載した記事です。
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