不良の波及範囲特定


 不良が発生した場合その波及範囲をいかにびしっと特定するかが大切である。
波及範囲があいまいであると、処置をする範囲が拡大してしまい、不良損失が増大する。
製造のトレーサビリティをきちんと取っておく事が、波及範囲の特定に役立つ。

トレーサビリティの精度は、万が一不良が発生したときの影響度にあわせれば良いだろう。例えばRoHS規制にかかわるような問題は、不良の影響度はかなり大きくなる。万が一の事があれば出荷済品の回収が必要である。
RoHS禁止物質が混入する可能性のある部材に関しては、メーカまでさかのぼってトレーサビリティを確保しておかなければならない。

以前指導していた工場でシリアル番号のバーコードラベルに重複が見つかった。
製造部は重複しているラベルはすべて発見・隔離したといっているが何も根拠がない。

そこでシリアル番号が重複した原因から調査をした。
ラベルプリンタでバーコードラベルを印刷する時に、ラベル用紙の位置出しをするために試し印字をする。試し印字をしたラベルが正規のラベルに混入したと判明。

ラベルプリンタのインクシートを全部巻き戻して印字の記録を調べ、重複番号をすべて洗い出した。(熱転写型のプリンタなので、インクシートを調べると印字内容が白黒反転して見える)
これで波及範囲はすべて特定でき、該当する番号のラベルを全部工程から回収する事が出来た。

これ以降はラベル印刷作業者は試し印字の記録をとることとなった。
しかしこの不良発生により試し印字のムダが発生している事が判明。
更に対策として、一発位置あわせが出来るようにプリンタに工夫することになった。不具合対策がコストダウンにもつながった例である。


このコラムは、2008年10月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第55号に掲載した記事です。

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