納品書を義務付けず 千葉県、公金不正操作可能に


 総額30億円の千葉県の不正経理のうち、使途不明金が1億1100万円にも上ったのは、県が物品納入の際に業者からの納品書の受領・保管を各部署に義務づけていなかったためだったことが県関係者の話などで分かった。
納品書の受領・保管の義務がなければ受領を証明する書類を職員が勝手に作成することが可能で、裏金化した「プール金」は私的に流用することが容易になっていた。

 県によると、納品書の受領・保管の義務がないため、実際に納品されていないのに書類上は納入したことにして代金を支払い、業者の口座に現金をプールするような不正経理が可能になる。県の追跡調査では、納品書がなく、物品も確認できなかったため、使途不明金としたのは総額1億1168万円に上った。

 詐欺容疑で逮捕された職員も、こうして業者にプールされた資金の中から料亭の飲食代金などを支払っていた。

 朝日新聞が47都道府県を調べたところ、納品書の受領・保管の義務化を完全に実施していないのは、千葉も含め、宮城、秋田、山形、富山、石川、三重、滋賀、兵庫、岡山、広島、愛媛、大分、鹿児島、沖縄の15県。特に千葉や石川などの数県はすべての物品に対して納品書を義務づけていない。

 納品書の受領・保管を義務づけている都道府県のほとんどは、納品書と物品を複数の職員が確認・検印しなければ、支出できない仕組み。兵庫県や広島県は高額物品だけしか納品書を求めていないが、購入窓口を用度の担当課だけとしているため、一般部局では業者と接触できないようにしている。

 千葉県管財課は「今後は納品書を徴収した上で、発注者以外の人物が納品を確認するようにしたい。速やかに規定を整備したい」としている。

(asahi.comより)

 県民から預かったお金で組織を運営し、そ、こから給料をもらっている人間として1円たりとも使途不明金があってはならないはずだ。
もちろん不正をした職員に責任があるが、不正が可能になる業務方式を放置した組織の責任は大きい。
職員全員が自らの職業の意義を正しく理解し仕事に取り組まなければならない。「慣行」に流され不正を不正と思わない組織文化が蔓延していたのであろう。

森田知事は「職員としての誇りはどうなったんだ」と声を荒らげたそうだが、正しい組織文化を構築するのは組織トップの責任のはずだ。

ちなみに滝沢村役場は経営理念を内外に告知し、職員の行動規範として経営の姿勢を明確にしている。

TVドラマで見た熱血正義漢・森田健作の活躍を期待したい。

中国での会社運営も同様である。
まずは仕事の目的・目標を明確にし、従業員が行動規範に従って誇りを持って仕事ができる企業文化を構築することが重要だ。

その上で会社の制度・仕事の手順で不正ができないようにしておく必要がある。先週号で紹介したように、中国ではどんな些細なことでも利権として活用する「能力」を持っている従業員に仕事をしてもらっている。

従業員が目先の利益にとらわれ不正をしてしまわないように仕組みを作る。
たとえば購買部が発注伝票を発行した場合、業者からの納品は、納品課、受け入れ検査課を経て材料倉庫に入庫して始めて検収があがるようにしてあるはずだ。たくさんの人の目に触れるようにしておくことで個人の不正を防ぐ。

購入単価を納入業者や全従業員に公開しておくのも同じ理由だ。

経営者は従業員を信頼するのが基本だ。
そして信頼を裏切るような行為ができない仕組みを構築しておくことが必要だ。


このコラムは、2009年9月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第116号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】