日経新聞電子版に、元サッカー選手・中田英寿氏の現在の活動を伝える記事が出ていた。
「中田英寿氏、人生の決断 なぜ文化の伝道師に?」
(残念ながら記事はすでに削除されていた)
現役選手時代は、トップ下の司令塔に立ちゲームメイクする中田に、日本のサッカーファンは絶大な信頼感を寄せていた。試合後の発言や、欧州チームへ移籍後普通に現地の言葉でコミュニケーションしている姿に触れ、知性の高い人物だと思っていた。
その中田が、W杯ドイツ大会後あっさり現役を引退してしまい、世界中を旅していると聞き、やっぱり「変な人」なんだと納得していた(笑)
記事によると、中田は3年かけて世界90カ国以上、150都市以上を歩き回ったそうだ。その旅の中で「世界を体験しようと思って旅に出たのに、逆に外国人から聞かれることは日本のことばかり。母国、日本の文化について自分は何も知らない」事に気がついたと言う。
こういう気持ちは、日本を離れ海外で仕事をされている方々に共通の感覚ではないだろうか。私自身も中国に住む様になってから、日本に対する愛着心が強くなっている。「八百万の神々」がおわす日本と、日本民族に対する誇りを強く感じる様になった。
中田の「自分は死ぬまで日本人。ずっと日本の文化のことを聞かれ続けられるのなら、日本のことをもっと勉強した方がいい」と言う発言に、強く共感する。
その後、中田は日本全国を旅して回り、日本文化を探求したと言う。
その結果、日本文化を世界に発信することをビジネスとしている。
中田は「日本の作り手はものを作ることに集中しているが、それをどう売っていくかという国内外の市場につなげる人があまりいない」と感じ、自らその役割を担うことを使命としている。
農業生産物、工業生産物を問わず、日本のモノ造りは、最高の品質を誇りとし生産をしているが、それが世界で市場を制覇しているとは言えない。製品は売れて初めて市場に認知される。売れなければないのと同じだ。
製品の価格や品質を売り込むのではなく。日本のモノ造りが、どのような文化背景で成り立っているのか。その文化的背景をセットにして製品を販売する。
そんなことができれば、新たな付加価値を付けることが出来そうだ。
このコラムは、2015年6月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第430号に掲載した記事です。
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