「前例」という言葉は保守的な組織と革新的な組織を見分ける試薬だ。
「前例」という言葉を歓迎するのは保守的な組織。「前例」と聞いてがっかりするのが革新的な組織。
法曹界は判例という「前例」が判断基準となる。
銀行の様な硬い企業や、同じ企業内でも総務部の様な部門はどちらかというと「前例」が珍重される。
一方ベンチャー企業や、同じ企業内でも開発部門では「前例」を忌避する。
同じ人でも年齢を重ねるほど「前例」に頼る様になる。これを長年の積み重ねによる「知恵」と考えるか、年齢とともに保守的になったと考えるべきか。
古典に学ぶという姿勢も、前例主義と言えるかも知れない。
中国古典の論語にこんな一節がある。
「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し。」
(為政第二-15)
学んだことを思考しなければ知識を生かせない。考えるだけで先人の知恵を学ばねばあやうい。という意味だ。
つまり学ぶのは「前例」であり、学んだ上で「革新」を考える。というのが孔子の教えだ。
こういう「前例」が2500年前からある。先人の知恵は学ぶべしだ。
このコラムは、2018年10月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第737号に掲載した記事です。
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