社内公募制度


 原田師が経営していたSOLID社は、作業員から文員(オフィスワーカ・間接職員)に登用する制度がある。間接職員約400人の内85%は元作業員出身である。文員になるためには、筆記試験に合格し、面接試験(人民裁判:各部門の部長が陪審員として参加する)に合格しなければならない。試験問題は、社内にあるマニュアルからランダムに問題が出題される。

従って、文員になりたい者は必死で勉強することになる。
外部から間接職員を招聘する場合、仕事の経験を条件とするだろうが、それは他社での経験であり、入社してすぐに力を発揮するとは限らない。入社しても、会社の文化が合わずにすぐに退社する者もあるだろう。
もっとも頭が痛いのは、中途で採用した者の給与が、従来からいる職員の給与体系に合わず、歪が生じてしまうことではないだろうか。

その点、内部登用による文員への昇格ならば、すでに会社の文化を理解し、社内マニュアルを必死で勉強した者が職位に付くので、そのような心配は必要なくなる。
採用にかかるコストも必要ない。

また新しいポジションができると、社内公募がかかる。
工場の中にある売店の職員も、社内から公募された従業員である。工場内の売店といえ、馬鹿にしてはいけない。近隣のどこより安い価格で販売しながら、月平均で15万元の売り上げがある。過去最高の売り上げは一ヶ月70万元だったという。店頭在庫は5万元程であり、市中のコンビニと比較すると信じられない棚卸し回転率だ。

この場合公募試験に出題される試験問題は、該当職場の業務マニュアルから出題される。従って公募で合格した者は、その職位に着任前に、業務マニュアルの内容を熟知していることになる。


このコラムは、2010年2月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第138号に掲載した記事です。

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