福岡県うきは市の市立中学校長(57)が08年の2学期、指導に従わなかった生徒数人に、「遅刻はしません」などと記した誓約書に署名させたうえに、母印も押させていたことが28日分かった。これを知った教員からは「威圧的な行為で驚いた。生徒指導の範囲を越えている」という声が出ている。
同市教育委員会は08年11月、市民からの訴えを受けてこの校長から事情を聴き、事実関係を確認した。しかし、「行き過ぎた行為だったが、熱心さのあまりやってしまったこと」として懲戒処分などはしなかったという。
一方、県教委も今年3月末、保護者らから「母印を押させるのは問題だ」との訴えを受けたという。義務教育課は「通常考えられない指導であり、事実関係を調査している」と話している。
校長によると、母印を押させたのは今春卒業した当時の3年生と、当時2年だった現3年生の合わせて7、8人。日ごろ、問題行動が目につくことから校長室に呼び出し、「遅刻はしません」「ノーヘル(ヘルメットなしの自転車乗車)はしません」「服装をきちんとします」「授業をまじめに受けます」などと記した誓約書を渡し、署名、押印させた。誓約書は校長が自ら作成したという。
(asahi.netより)
この校長先生は私と同年代だが、この記事には大変違和感を持った。問題視する教育委員会や父兄の方に問題があるとしか思えない。
問題を起こしてしまった時に「始末書」を書いて捺印するのは大人の社会では当たり前のことだ。捺印の代わりに母音を押すのは犯罪者だけではない。生徒が約束を守れなかったときに「始末書」を書かせただけだ。
約束を守れない生徒達をこのように甘やかして社会に送り出すことのほうが大問題だ。しかも担任の先生ではなく校長先生がしている。本来現場の指導責任を持っている担任の先生は何をしたのだろうか?
PTAからのクレームを恐れ何もしなかったのではなかろうか?
保身しか頭にない人間に教育者になる資格はない。
もちろんこの校長先生の指導方法が優れているとは思っていない。
以前指導していた中国工場で、掲示板に「不良を作りません」とA4の紙に何度も何度も書いたものが作業員の署名入りで貼り出されていた事がある。多分注意しても不良が減らない作業者の指導に困った班長が、昔学校で先生に課せられた「罰」を思い出してやらせたのであろう。
無理もない昨日まで作業員だった出稼ぎの少女が何も教育を受けずに班長に昇格しただけなのだ。
しかし経験の長い校長先生がこの班長と同じレベルの指導しかできないのでは困る。
生徒が約束を守れない理由をしっかり理解してやり、一緒に約束を守る方法を考える。「うっかり約束を守れない」人には「しっかりルールで約束を守る」方法を指導しなければならない。
中学生の指導も工場作業者の指導も同じだと思う。
このコラムは、2009年5月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第96号に掲載した記事です。
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