「モノの見方を変える」と簡単に言うが、これがなかなか難しい。
部下がモノの見方をもう少し変えてくれたら、と思う方は意外と多いのではないだろうか。
例えば、上司やお客様の立場に立ってモノを考える。
不具合の再発防止が「モグラたたき状態」となっており、もっと視点を変えて対策を検討して欲しい。
などモノの見方を少しだけ変えれば、簡単に理解出来るのに、ともどかしく感じておられる様だ。
しかし「モノの見方を変える」と簡単に言って、部下は理解出来るだろうか?
ここに問題が有る様な気がする。
まず「モノの見方を変える」と言う事の定義からされてはいかがだろうか。
例えば、バスの中で大声で電話をかけている人は、回りにいる人の事を考えられないから、人に迷惑をかけていると言う考えに至らない。
こういう人達の思考を一人称思考と言う。自分の事しか考えられない、と言う意味だ。
これを少しレベルを上げて「We」一人称複数で考える。
一人の都合だけではなく、仲間の都合も考える事が出来る様に成長する。
更に二人称、二人称複数、三人称、三人称複数とレベルを上げてゆく事の意味を定義すると言う事だ。
同じ様に、
職位を上げて考える。
時間軸を変えて考える。
技術のレベルを上げて考える。
技術の分野を変えて考える。
等々、モノの見方を変えるとはどういう事なのか、そしてその結果自分にどの様なメリットが有るのかが明確になれば、モノの見方を変えることができる様になるはずだ。
先日はこんな事例があった。
機械加工時に、ワークを固定する部分の先端が汚れて来ると、ワークに擦り傷が発生する。それを防止するために定期的に洗浄する、と言うアイディアが出て来る。
どのくらいの頻度で洗浄するの?と聞くと月に一回とか週に一回と言っている。
加工のたびに一回にすれば、忘れないよ、とアドバイスをすると、毎回では時間が無駄だ、と言う。
確かにその意見は正しい。ここでモノの見方を変える。時間がかかるから無駄と考えるのならば、時間がかからない方法を考えればいいのだ。
問題とか障害と言うのは、問題解決を阻害する物ではない。
問題や障害は、新たな発想、より次元の高い解決方法が見つけるチャンスだ。
「モノの見方を変えろ」と言わずに「人称レベルを上げろ」とか「解決課題を変えろ」と具体的に言う。これが習慣となれば、こちらから言わなくても自らモノの見方を変えられる様になるはずだ。
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