QCCによる改善活動と、日常の改善活動には役割分担があってよいはずだ。
大掛かりな改善や、原因がよくわからない問題の改善は、QCC活動に任せるのが良い。複数の部門の協力がなければ達成できないような改善は、複数部門で改善プロジェクトを起こす。単純な改善活動は、日常業務として取り組めば良い。
指導先で「顧客提供サンプルの合格率アップ」という活動をしているサークルがあった。事務機器業界の顧客には、サンプル提出後一発合格しているのに、新規業界の顧客向けサンプルは、合格率が低いという。
この手の問題は、サンプル不合格となった原因を整理・分析し対策を検討する。さらに顧客の要求仕様を把握する営業、その要求仕様を図面に落とす設計、サンプルを製作する生産技・製造、品質を確認する品証の協力がなければならない。したがって、関連部門でチームを作りQCC活動をするのが良さそうだ。
しかし活動内容の発表を聞いて考え直した。
今まで不合格となった試作サンプルは3件しかないということだ。ならば、QCC活動でまとめて対策を検討するまでもない。その都度不良の原因調査と再発防止対策を検討する方が効率が良い。それがきちんと回る仕組みを作ればよいのだ。
例えば、サンプルを出荷する前に、営業、設計、生産技、製造、品証で出荷判定会議をする。サンプルが不合格となったら、このメンバーで原因調査、再発防止をきちんと実施する。
例えば仕様の確認不足でサンプル不合格となった場合、「仕様確認チェックシート」などを作り仕様確認作業を標準化することである。
サンプル不合格の原因は、仕様の未確認だけではない。製造の問題、治具の問題、測定方法などいろいろな問題があるはずである。それらの問題が出てくるたびに、問題解決の行動を起こすのではない。問題が発生したら自動的にアクションがとられる仕組みを準備しておくのだ。
道具にはそれぞれそれに適した仕事がある。プラスネジをマイナスドライバーで締めることはしない。改善という仕事にも、日常改善、プロジェクト改善、QCC活動を課題に合わせて使い分けるのがよかろう。
このコラムは、2011年6月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第210号に掲載した記事を加筆修正したものです。
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