究極を目指す


 欧米の契約社会が目指すモノは「合格点」だと思う。
欧米発の品質管理基準ISO9000では、顧客満足とは、顧客の要求をもれなく定義しそれを過不足なく満たすことだ。いわば「合格点主義」

一方本来の日本のモノ造りは「究極主義」だと思う。
不良は究極まで減らし「ゼロ」を目指す。
ほぼ1日かかっていた自動車ボディのプレス金型の段取り換え時間を3時間に短縮し、更に3分まで短縮してしまう。

こういう「究極主義」がなければ、田口メソッドの「損失曲線」という概念は生まれないだろう。

随分昔の話だが、シンガポールのハードディスクドライブ組立工場を見学した事がある。

工程を見て直行率が低そうに思えたので、質問をしてみた。責任者の話では普通は80%代、90%に達したら工程改善をしないそうだ。その改善リソースは次世代機立ち上げに振り向けるという。

いかにも合理主義的な考えである。
しかしこれは現場に改善エンジンを持たない者の「敗者の戦略だ」というと言過ぎだろうか。

日本のモノ造りの現場には、改善エンジンが仕込まれている。QCサークルのような現場の改善チームもそのエンジンのうちの一つだ。この改善エンジンが、モノを作り続ける限り改善をし続ける原動力となる。


このコラムは、2009年2月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第81号に掲載した記事です。

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