理念の浸透


 従業員が同じ目的を共有し、共通の理念のもとに働く。経営者が目指すのは、この様な従業員が集まった組織だと思う。

そのために経営者は日々目的や理念を、全従業員に浸透させる努力をしなければならない。

例えば「○○を生産することにより、豊かな社会を実現する」と言う理念の工場で働く作業員や清掃係はどのような心構えで仕事をすべきか?
これが理解出来なければ、お題目の様に理念を毎日唱えても浸透しないだろう。

なぜなら、作業員や清掃係の仕事と理念が結びついていないからだ。
理念を何度唱えても、今自分がやっている組み立てや、トイレ掃除の作業と「豊かな社会の実現」が結びつかないからだ。

自分の作業や仲間の作業が集まり一つの仕事になり、その結果豊かな社会が実現出来ると言う事が腑に落ちなければ、理念はただのお題目となる。

ではどうすれば良いのか?
以前このメルマガで書いた様に「ストーリィの力」を使う。

「物語型内発的動機付け」

理念を箇条書きにしても、心にはささらない。
物語として伝えれば、腑に落ちる。

人類が太古の昔から、生き残る為の知恵として語り継がれ、DNAに落とし込むための手法が「物語」なのではないかと考えている。
私たちは子供の頃から「物語」として昔の人々の知恵を引き継いでいる。物語が、潜在意識に過去の記憶を刻み込み、DNAレベルの行動をひき出す事が出来るのだと推測している。

この様な方法で理念を伝えれば、一人ひとりの心の奥深いところまで理念が浸透するだろう。理念の浸透は広さと深さが必要だ。

映像制作を上海でやっている友人がいる。
彼は企業の新人教育や作業マニュアルを映像化する仕事をしている。
彼のサイトを見ていて、理念の浸透にはストーリィの力が有効だと確信した。


このコラムは、2015年8月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第439号に掲載した記事です。

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