以前「まとめ造りvs一個流し」と題したコラムをこのメルマガに書いた。
このコラムで、まとめ造りをするより、一個ずつ造った方が効率が良いと言う実験を紹介した。
この例では、一個ずつ造れば、まとめ造りをするより30%近く作業時間を短縮出来る事を示した。
今回はまとめ生産と平準化生産について考えてみたい。
平準化生産は、まとめ生産より中間在庫が減り、出荷のフレキシビリティが上がる。
例えば、1工程、2工程で生産した部品を3工程で組み立てると言う製品Aが有ったとしよう。1工程、2工程は設備で加工、3工程は手作業で組み立て。
1工程、2工程の生産能力は、3工程の組み立て能力の3倍有る。
この場合、1工程、2工程は製品Aと同様の製品B、製品Cの部品も加工することになる。
1工程、2工程は1日で製品Aの3日分の部品、翌日製品Bの部品3日分、3日目に製品Cの部品3日分を生産する。これをまとめ造り生産と言う。
平準化生産は、一日に1工程、2工程は製品A、製品B、製品Cの部品を一日分ずつ生産する。
まとめ生産の場合は、中間在庫は製品ごとに1~3日分(全体で6日分)となる。全製品が出荷可能になるのは部品生産開始から4日目だ。
一方1、2工程で毎日1日分ずつ3種類の部品を生産すれば、中間在庫は各製品1日分(全体で3日分)となる。しかも部品の生産開始から2日目に全製品が出荷可能になる。
この様にメリットが有るが、まとめ生産を変えない工場が多い。
それは1工程、2工程の生産設備の段取り替えに時間がかかるため、なるべくまとめて生産した方が効率が良いと考えているからだ。
設備の「可動率」を上げる事は重要だが、全体で調和がとれていなければ意味はない。
まとめ造りはしないと決め、平準化生産を阻害する要因の改善(例えば段取り替え時間を短縮する)を考える方が健全だと考えるが、いかがだろうか?
このコラムは、2015年8月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第438号に掲載した記事です。
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