まとめ造りvs一個流し


まとめて作業をするよりは、一個ずつ作業を完成させる方が速い。これは原理的に正しい。なぜならば、まとめ造りをすると必ず「取り置き動作」が入る。一個ずつ作業をすれば、取り置き動作は入らない。理論的に説明してもなかなか現場の班長さんや作業者には理解してもらえない。

例えば、予め梱包箱を全部組み立てておき、その後完成品を梱包箱に入れる。
この様な作業をしている現場が多い。完成品が一つ出来たら梱包箱を一つ組み立て梱包する。こうすれば、取り置き作業は発生しない。その上完成した梱包箱を置いておく場所が不要となる。

以前指導した工場では、4人で組み立て作業をしていたのを、30分の作業訓練で3人作業とし、最終的には2人で作業出来る様にしたことがある。このとき私がしたのは、まとめ造りを止め一個流しにしただけだ。

現場リーダは、今までと違うやり方に変更するのを躊躇する傾向がある。多分これは人間の特性だろう。理論を教えても、現場リーダは、新しい方法に対し抵抗勢力となる事が多い。理論が正しい事を身を以て体験すると、推進派になってくれる。

お客様の現場で、単純な作業実験により一個流しの効力を体験していただいたことがある。

手紙を3つ折りする。封筒に入れる。糊で封をする。判子を押す。
この4つの作業を、まとめ作業と一個流し作業で比較をする。

10個分の材料を準備し、現場の組長さんに作業をしてもらった。
その結果は、

まとめ造り:4分12秒37 一個当り:25秒24
一個流し: 2分59秒63 一個当り:17秒96

一個流し作業は、一個当り7秒28速く出来る。
7秒の違いがどれだけ大きいかはすぐご理解いただけよう。1日3000個作業をすると仮定すれば、まとめ造りならば3人で作業しなければ間に合わない。一個流しで作業すれば、2人で可能となると言う意味だ。

こちらの記事もご参考に
「まとめ生産と平準化生産」


このコラムは、2014年8月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第375号に掲載した記事に修正・加筆しました。

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