スラム街の奇跡


 先週は移動時間に「心のチキンスープ」という本を読んだ。

感動で涙が出るので、涙腺の弱い方は人目のある所で読まない事をお勧めする。

いくつものストーリィがあるが、その内の「スラム街の奇跡」を紹介したい。

米国で社会学の学生がスラム街に暮らす200人の子供たちを調査した。子供たちは皆金銭的にも、家庭環境にも恵まれず、客観的に見て幸せな未来は期待できないという調査結果だった。

25年後にその子供たちの追跡調査を行った。
200人のうち20人は行方が分からず再調査できたのは180人だったが、なんと180人のうち、176人は医師、弁護士など人並み以上の成功を手に入れていた。

不思議に思った社会学者が更に調査をすると、176人はみな子供の頃に同じ教師の教えを受けていた。この教師を捜し出し、どういう指導をしたのか聞いてみた。

その教師は「私は何もしていません。ただあの子たちを愛しただけです」と答えたそうだ。

子供たちが幸せになる事を信じ、愛情を持って指導したのだろう。
子供たちが成功して幸せになると信じて指導をすれば、子供たちはそのとおりに幸せになる。
スラム街に暮らす子供たちだから、努力しても底辺から這い上がれないだろうと思って指導をすれば、子供たちはそのとおりになる。

これをピグマリオン効果という。

教師の期待が、子供たちに伝わり彼らの潜在意識を変える。彼らの潜在意識が彼らの未来を変えたのだろう。彼らの潜在意識が、スラム街に暮らす親の影響を受けていれば、一生スラム街で暮らすことになっていたはずだ。

従業員が悪い事をする、と思っていればそのとおりになる。どうせここまでしか出来ない、と思っていればそのとおりになる。可能性を信じていれば、従業員は成長する。

従業員は経営者の鏡なのだ。


このコラムは、2012年7月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第264号に掲載した記事に加筆したものです。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】