「即戦力なんて存在しない。だから育てるんだ」スティーブ・ジョブズの言葉だ。
スティーブが創業したピクサーは、ハリウッドでは特異な存在だった様だ。
普通のハリウッド企業は、脚本などのアイディアはお金を出して買う。
必要な人材は、フリーランスで雇用する。
人材は必要な時に、即戦力を買って来ると言う訳だ。
仕事がある時だけに、人材を調達すれば、経営は楽になる。
しかしピクサーは持ち込みのアイディアは使わない。人材は社員として雇用する。
つまり、外のアイディアには金を払わない。その代わり、人財を育てるのに金を使い、内部からアイディアが生まれる様にする。
こういう考え方は、昔の日本企業が持っていた考え方だ。
「家族主義」「人は育てて使う」こういう考え方が、効率優先の短期業績主義経営によって忘れられている。
短期業績主義以外に、従業員の流動性も、中国に於いて日本的経営を難しくする要因となるだろう。折角育てても、すぐに辞めてしまうのでムダだ。人材育成は諦めた、と言う日本人経営者に会った事もある。
しかし、使い捨ての企業に労働者が魅力を感じる事はない。本当の所は、人財育成をしないから人は辞めて行く。即戦力だと思って金で買って来た人材は、すぐに金でよそに買われて行く。
従業員を「人材」(ヒューマンリソース)と考えれば、必要なリソースを金を使って準備をすれば良いと言う考えになるだろう。
しかし本当に使える「人財」はヒューマンキャピタルだ。
人を財産に変えるには、自分たちで磨き上げるしかない。
このコラムは、2013年3月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第301号に掲載した記事を加筆修正したものです。
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