日本の大学生のために,企画した香港・中国視察旅行のお手伝いをした.
日本の若者が広く海外に目を向け,卒業後のキャリア形成の一助とする企画だ.
私は,中国工場視察のプランニングと当日の引率を担当した.
最近日本の若者から覇気が感じられないと思っていた.毎年明治大学の経営学部3,4年生に特別講義をさせていただく機会がある.授業の前に経営者になりたい人の挙手を求めているが,昨年はついにゼロだった.
経営学を勉強したら,皆経営者にならなければならないと言うことはないが,経営者になりたい人がゼロと言うのは残念な結果だ.(講義後のレポートを見ると,経営者を目指している人も何人かいた.ただ彼らがシャイなだけだったのかもしれない・笑)
若者に夢がないのは,我々の世代の責任なのだろうと思う.
お父さんが毎日疲れた顔をして会社から戻ってくる.子供に自分が夢を目指して働いている姿を見せていない.そんな大人を見て育った若者に,夢を持てと口先で言っても心には響かないだろう.
若者に夢がないということは,今不景気だと言うよりもっと深刻な危機状況だ.不景気なのは今だけだが,若者の夢は未来に影響を与える.
しかし今回中国にやって来た15人ほどの若者は違っていた.
ただ単位が取りたくて学外研修に参加したわけではない.学外研修に自費,または親に金を出して貰って来ている.明らかに目の色が違った.
そんな彼らを,中国企業の工場に連れて行った.
たぶん工場見学など,小学校の社会見学以来だろう.どんな工場でも良かった.狙いはその工場の経営者を紹介することだった.
弱冠33歳の経営者は,10年前に日系の工場から独立し,仲間3人と金型を作る工場を始めた.
この10年間で仲間と共に夢を実現してきた姿を見てもらいたかったのだ.
彼らは,香港でも私が尊敬する日本人経営者たちと直に懇談してきた.
皆さん「香港ドリーム」を実現してきた経営者だ.
今回の視察旅行に参加してくれた学生たちが,人生の夢を見つけ,すばらしい仕事を見つけることを期待している.
このコラムは、2012年3月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第249号に掲載した記事を加筆修正したものです。
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