TEDと言う言葉をお聞きになったことがあるだろうか?
広める価値のあるアイディアを、T(テクノロジー)E(エンターテイメント)D(デザイン)の分野で、世界中の人々がプレゼンテーションをする、という趣旨で活動している人達だ。
年に一度TEDカンファレンスを開催している。
その広める価値のあるアイディアのプレゼンテーションをインターネット上で拡散しているのがTED Talksだ。
先週たまたまPodcastの番組を探していたら、TED Talksの日本語字幕付きの動画を見つけた。その中でアレックス・ラスキーと言う人が「行動科学で電気代が安くなる」と言うテーマで講演している動画を見つけた。彼は米国で、節電を促進する啓蒙活動をしている様だ。
講演の中で面白い事例があったので、皆さんにご紹介したい。
カリフォルニア州サンマルコで行動科学の実験が行われた。
調査を行った大学院生達は、近所の家庭を回り、エアコンを止めて扇風機を使って節電する様に訴えるチラシを配布した。そのチラシは以下の4種類あり、それぞれ同数ずつ配布した。
- エアコンを止めて扇風機にすれば1ヶ月で54ドル節約出来る
- 環境保護に関するメッセージ
- 節電をして善良な市民になろう
1.のチラシは具体的な節約金額も入っており、効果がありそうに思える。
しかしこれら3つのチラシはどれも、全く効果がなかった。
効果があったのは4番目のチラシだけだった。
4番目のチラシにはこう書かれていた。
「調査の結果、ご近所の家庭の77%がエアコンを切って扇風機を回しています」
日本人は個より全体を重視する傾向にある。従ってご近所が皆節電していると分かると、自分もやろうとする。こういう心理や行動は理解出来る。しかし日本人よりはずっと個を大切にする米国人にも、効果があると言うのは意外だった。
余談だが、最近米国の中国駐在大使が辞任して本国に帰国したそうだ。
理由は「家族のため」と公表している。しかし本心は「PM2.5がひどくてもうヤダ」と言う事の様だ(笑)日本人のメンタリティとは随分違っている。
そういう米国人でも「ご近所が……」と言うと行動を起こす、これは驚きだ。
そして、中国人にも、こういうアプローチが有効かもしれないと気が付いた。
好ましい行動を促進するために「周りの人は皆そうしているよ」と動機付けをする。中国人の部下をお持ちの方は、ぜひお試しいただきたい。
バレバレな「皆そうしてる」は逆効果かもしれないが(笑)
ぜひ試してみた結果をお知らせいただきたい。
「皆そうしてる」は、行動心理学では社会的証明と言われており、成果が期待できそうだ、ということを一言付け加えさせて頂く。
このコラムは、2013年11月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第337号に掲載した記事に加筆したものです。
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