作業員の評価


 先日、日本人経営者と中国人幹部の作業員評価に関する会議に立ち会った。

日本人経営者は、作業員は「業績評価」より「勤務態度・意欲評価」の割合を高めたいと考えている。
一方中国人幹部は、数値目標を与え、その達成度合いで評価したいと言う。
例えば、標準作業時間で生産出来る数量を目標として、各自の生産良品数で5段階評価する、と言う考え方だ。
この様な評価により、以下のメリットが有ると中国人幹部は考えている。
・評価者ごとのバラツキが少なくなる。
・より公平な評価ができる。
・具体的な目標を与えることにより、達成感を持たせることができる。

その裏には、「協調性」「積極性」「自己成長意欲」と言う評価項目を公明・公平に評価する事が難しいと中国人幹部たちが感じている。当然、作業員全員を自分一人で評価する事は出来ない。普段作業者と一緒に仕事をしている課長、係長が一次評価をする。彼らが、同じレベルで公平に評価出来る様にする自信がないのだろう。
当然評価が不公平だと感じれば、作業員は不満を持ち離職する場合もあり得る。

しかし、数値目標だけを評価基準にしてしまうと、仲間が困っていても自分の仕事を優先する。経営者は多能工化を推進したいと考えているのに、新しい仕事になれば、生産量目標を達成出来ない可能性があるので、多能工研修を拒否する。など経営者が目指す組織とは違う方向性を持った、従業員が高評価を受けることになる。

難しいから「態度・意欲評価」を放棄して、簡単な数値評価をする。その結果経営方針とは違う方向に進んでしまうことになる。
どうすれば「態度・意欲評価」を公平に出来るかを考える方が建設的だ。

例えば「積極性」をそのまま評価しようとするから難しくなる。
まず「積極性が有る行動」「積極性がない行動」を列挙しておく。普段の行動観察により、好ましい行動(プラス得点)と好ましくない行動(マイナス得点)を集計する。このようにしておけば、ある程度客観的な評価が可能となる。
被評価者から評価に関してクレームが有った時に、「こういう行動が有ったので、マイナス評価になった」と説明が出来る様になる。

この様な評価基準を、評価者全員でブレーンストーミングで作っておくと、評価者、被評価者の納得性も高くなるはずだ。


このコラムは、2014年10月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第395号に掲載した記事に加筆したものです。

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