方法より目的


 あなたの工場では,受け入れ検査をする部署を何と呼んでいるだろうか.
「品質管理部・受け入れ検査課」だろうか?

この「受け入れ検査課」と言う組織名称は,その組織が行う業務によって名付けられた名称だ.しかし受け入れ検査課が果たす本来のミッションは,受け入れ部品の品質保証であろう.

もし組織の名称を業務ではなくミッションにすれば,「部品保証課」という名称になる.

受け入れ検査というのは部品の品質を保証するための一つの方法だ.
部品品質の保証のためにはその他にも,部品仕様の検討,納入業者の選択,納入業者の品質指導などが必要となる.
受け入れ検査という方法ではなく,部品の品質保証という目的を組織名称としたほうが分かりやすいと思うがいかがだろうか.

ISOなどの文書により,各部署のミッションをきちんと定義してあるとは思うが,組織名称がそのミッションを明確にした方が分かりやすい.
拡大解釈をすれば,部品品質の保証は製品品質の保証のため,製品品質の保証は顧客満足のためだ.こんな解釈を適用すれば,社内の組織はみな「顧客満足課」になってしまうかもしれない(笑)

同様に,部下に仕事を与えるときに方法を指示するのではなく,目的を理解させることが重要だと思っている.
方法だけ与えられている場合,例外事象が発生したときにその方法が適用できなくなる可能性もある.しかし目的が理解できていれば,例外事象に適応する工夫が生まれるはずだ.

経営幹部の方が,ウチの職員はいわれたことは一生懸命やってくれるが,自分で考えて仕事が出来ない.マニュアルどおりに仕事をしてくれるが,マニュアルには全ての例外事象まで書ききれない.と嘆いておられるのを聞く.

ひょっとして,方法論の指導が中心になっているのではないだろうか?
指導法を目的中心にすることを一度試されてはいかがだろうか.


このコラムは、2010年5月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第155号に掲載した記事です。

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