ISO9001導入


 ISO9001を導入したいという台湾資本の工場から引き合いをいただいた.

以前,他の工場をお邪魔したときに通された応接室にISO9001のシステム文書がファイルに入ってでんと飾ってあった.中を見せていただくと案の定一度も読んだ形跡がない.

コンサル会社がシステム文書一式を提供し,手っ取り早くISO9001の認証取得をしたようである.お客様から要求があるからISO9001の認証を取る.商売のライセンスと考えておられるのであろう.ライセンスの維持や更新にコストがかかるのはやむをえないという考えであろう.

しかし本来ISO9001は品質向上・顧客満足向上経営ツールとして活用してこそ導入の意義があると考えている.

この工場は生産現場を見せていただいても,品質に対するまじめな取り組みが見えてこなかった.

そんな経験があったので,今回の引き合いにもあまり乗り気ではなかった.
そんな気持ちで,先方の董事長と電話で打ち合わせをした.

しかし董事長の「ペーパーISOは要らない」の一言で私の心に火がついた.すぐに工場訪問の日程を決めさせていただいた.

問題は11月までに認証を取得したいということだ.
一ヵ月半で「魂の入った品証システム」を構築し,全従業員が魂をこめて運用できるようにするのはほとんど不可能である.
玉砕覚悟の仕事ではあるが,董事長の心意気に何とか応えたいと考えている.


このコラムは、2007年10月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第2号に掲載した記事に加筆しました。

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