「失敗から学ぶ」ということは失敗事例から学び、事故や災害の未然対策をすることを目的としている。したがって未知の事例・災害には対処の方法がない、ということになってしまう。例えば2011年に発生した福島原発事故は、1000年に一度の大津波が原因であり全く想定外、事前の対策は不可能だった。本当にそうだろうか?
福島原発事故は、想定外の津波により全ての電源が水没したため電源の使用が不可能となり、炉心が冷却出来ずメルトダウンに至った。
原因が未知の事故・失敗はない、業界を超えて考えればほとんどの事故・失敗は既知の原因によるものである、とこのメルマガで書いてきた。
2001年9月11日ワールドトレードセンター同時多発テロ事件発生後に、米国は原子力発電所に対してテロが行われることを想定して、対策を実施している。
津波が想定外であっても、全電源が使用不可能になることはありうる。しかもその事例は10年前にあったのだ。「津波」を「テロ」に置き換えて未然防止を考えるのが「失敗から学ぶ」ということだ。
世の中には多くの失敗事例がある。それをいかに自社の問題として捉え直す事が出来るか、というのが失敗から学ぶための極意だと思う。
このコラムは、2018年4月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第655号に掲載した記事を修正・加筆しました。
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