子曰:“若圣与仁,则吾岂(1)敢!抑(2)为之不厌,诲人不倦,则可谓云尔(3)已矣!”
公西华曰:“正唯弟子不能学也。”《论语》述而第七-34
(1)岂:「豈」どうして〜か「あに」と訓ずる。
(2)抑:『只不过』の意味。「そもそも」と訓ずる。
(3)云尔:『这样说』の意味。「しかいう」と訓ずる。
素読文:
子曰わく、聖と仁とのごときは、則ち吾豈敢てせんや。抑之を為びて厭わず、人を誨て倦まざるは、則ち云尔と謂うべきのみ。公西華曰わく、正に唯弟子学ぶ能わざるなり。
解釈:
「聖とか仁とかいうほどの徳は、私には及びもつかないことだ。ただ私は、その境地をめざしてあくことなく努力している。また私の体験をとおして倦むことなく教えている。ただそれだけが私の身上だ」と孔子は簡単に言っているが、孔子のいう「ただそれだけ」が我々凡夫には到底及ばないことだ。
素読には『为之不厌』を「為びて厭わず」としましたが、「為して厭わず」と解釈することもできます。「聖と仁をなして厭わない」と解釈した方が理解しやすいでしょう。
万人から聖人、仁者と尊敬される孔子が謙遜して「吾豈敢てせんや。」と言っています。これが本当の仁者です。