品質記録


 先週と今週は、中国民営企業で現場改善を指導している。

現場で以下の様な状況を発見した。完成品の最終検査で不具合が見つかり、不良内容をテープに書いて不良現品に貼付けてある。大きな製品なので、不良品を入れる箱に入れる事は不可能だ。不良品置き場に隔離する事も、現実的ではない。不良を示すテープを貼る事は合理的だと思う。不具合内容も書いてあるので、後の修理処置も明確になる。

しかし驚く事に、この不良は記録されていない。

検査では検査数量,不良数量を記録している。不良の責任工程も記録してある。しかし不良内容が記録されていない。検査記録の目的が、我々の常識とは違っている様だ。彼らの検査記録は、出来高制の給与計算が目的なのだろう、と勘ぐってしまう。

彼らは、生産工程ごとに品質検査をしており、正しく加工出来た事を、1台毎に添付された検査記録表に記録している。ISOの要求だから記録している、と言う事なのだろう。

品質記録は自分たちの改善に活用すべきだ。各工程で発生した不良を記録する様に指導をした。品質管理担当の副総経理が、私の話を聞きながら熱心にメモしているのを見て、少し驚いた。このレベルから指導をしなければならない、と言うのは彼らの伸び代が大きいと言う事であり、私の貢献意欲が大いに刺激される(笑)

何かのコマーシャルで「物より記憶」と言うキャッチコピーが有った様に記憶している。社会が豊かになると、物への欲求より「思い出」の様な精神的な欲求が強くなるのだろう。

生産現場では記憶より記録が重要だ。

この工場の生産記録には、投入台数と完成台数だけしかなかった。更にかかった工数、正規工数よりよけいにかかった時間とその原因などの項目を追加した。

その結果色々な事がデータとして分かる。
生産現場のリーダや管理職は、部材が計画通りに揃わない事が、生産ロスの最大の原因だと主張している。しかしデータから判断出来る事は、生産機種の変更に最も時間がかかっていると言う事だ。

彼らの主張通り,部材調達問題の改善に取り組んでもそれほど大きな効果は見込めないだろう。機種変更段取り時間をいかに短縮するかが、優先課題だ。

この記録から、ある工程では、5月上旬を境に生産性が平均70%向上している事が一目瞭然となった。生産性が急増した境目は、前回指導時に与えた宿題が実施された日だ。

実はこの工程に与えた宿題は2S(整理・整頓)だけだ。
不要不急の部材を整理し、今生産する為の部材を適切な場所に整頓する。たったこれだけの事で生産性が70%向上した。


このコラムは、2016年5月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第146号に掲載した記事に加筆しました。

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