品質意識


 以前「無料工場診断」でお邪魔した工場で,品質保証部ローカルスタッフの皆さんと昼休みに雑談をしたことがある.

アルミダイキャスト製品を中心とした工場だ.
午前中の現場診断で,工程内不良率が高いのがこの工場の問題点だと認識していた.しかし工程内不良品は,また原材料として再利用できる.歩留まりという観点だけを見ていれば,そこそこ良いデータが見えている.従って経営者の問題意識は,リードタイムや納期遵守に関する問題に集中していた.当然工程内不良率を下げてやれば,リードタイム,納期遵守率も改善できる.

品質保証部のスタッフはどんな問題意識を持っているのか興味があり,雑談をしてみた.

彼らの問題意識は「各部署の品質意識が低い」ということだった.
いろいろな部署の実例を挙げて品質意識に関する不満を説明してくれた.

しかし「品質意識が低い」ということは品質保証部にとっては不満ではない.課題だ.
「品質意識が低い」と不満を漏らすということは,自分たちの仕事が全うできていません,ということを言っているのと等しい.

品質保証部の仕事は「品質管理」と「品質改善」だ.
これを通して顧客の満足を得るのが品質保証部の仕事だ.
この二つの任務「品質管理」「品質改善」が円滑に行われるためには,従業員全員の「品質第一のココロ」を養わなくてはならない.

従って品質保証部のスタッフは他部署の人間が「品質意識が低い」という感想や不満を漏らしてはならない.どのようにすれば全社の品質意識が上がるかと真剣に考え,それを実際の施策に落とし込まねばならない.


このコラムは、2009年12月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第130号に掲載した記事に修正・加筆しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】