変わる価値と変わらぬ価値


 昭和の高度成長期には「オー!モーレツ!」「大きいことはいいことだ」とコマーシャルで散々聞かされていた。当時の「企業戦士」は平成では「社畜」と呼ばれる。ショルダーバックほどの大きさだった移動電話は、平成には胸のポケットに入っている。

昭和の価値は、平成では価値ではなくなった。
がむしゃらに頑張ることはダサく、ゆとりを求める。
大きく豪華であることより、小型でシンプルであることを好む。

では変わらぬ価値はあるのだろうか?

昭和は、がむしゃらに頑張って、大きく豪華なモノを手に入れる。
平成は、シンプルな生活をすることにより、ゆとりを楽しむ。
こう考えると、人生を楽しむという価値観は同じであり、その方法が違うだけと理解することができる。
昭和世代は、モノによって人生の豊かさを実感する。
平成世代は、モノから離れることで人生の豊かさを実感する。
両者は、方法は違うが目的は同じだ。

変わる価値は方法。変わらぬ価値は目的。
こう考えると、企業経営も同じだと気がつく。

例えば企業経営の目的が、顧客、社会、従業員の幸福追求であれば、方法が変化しても繁栄を続けることができるだろう。
しかし企業経営の目的が善ならざれば、どのような方法を取っても企業が反映し続けることはない。


このコラムは、2019年5月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第818号に掲載した記事に加筆しました。

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