中国に現地法人を立ち上げて経営している日系企業を観察すると、大手企業と中小企業で大きな違いがあるような気がする。
大手企業の場合、経営トップは3年~5年で赴任交代。
中小企業の場合、経営トップが長期間赴任。
もちろんこの分類が全部ではない。例外も多く見聞きする。
しかし大方が上記のようなイメージではなかろうか?
大企業は、人材が豊富で現地経営者の交代要員がたくさんいる。
中小企業は、人材的制約により簡単には現地経営者を変えられない。
そんな事情も垣間見える。
ところで、中国における日系企業と欧米企業の違いも考えてみたい。
私の知見では、欧米系中国企業のトップは中国人。本社からの赴任者もいるが、部門トップのサポート役という印象だ。欧米グルーバル企業は、立ち上げ時には本社の社員が来るが、立ち上げが完了するとさっさと引き上げる、そんな印象を持っている。
たまに長らく中国に住み着いている欧米人にも出会うが、奥さんが中国人だ。(私の知るサンプル数が少ないので、これが一般的かどうかはわからない)
これは製造業ばかりではない。
例えば、カルフール、ウォールマートでは欧米人の社員を見かけたことはない。しかしイオンではたまに日本人と思われる方を見かけることがある。
欧米:現地経営に任せる。
日系:現地経営を信じておらず任せられない。
こんな図式を感じてしまう。
しかし「任せる」が丸投げになっているようでは、企業のブランドイメージが損なわれる場合があるはずだ。
例えば、カルフールやウォールマートで買い物をしていると、店員の対応で不愉快になることがままある。
- 混雑時に商品展示の入れ替えをする。
- レジで長らく並んだ挙句、商品のバーコードが読めず『買不了(買えません)』と言い放つ。
(店側の責任なのに、謝罪は一切なし) - 混雑時に店内掃除係と荷出し係が客の前で喧嘩をする。
- 混雑時に床清掃機に搭乗し顧客を蹴散らして床掃除をする。
イオンが最高とは言わないが、上記のような場面に出会ったことはない。
- 職員はバックヤードから売り場に入る時一礼する。
- レジ係は必ず同じ態度で接客する。
など教育が行き届いているように感じる。
この違いは、日本と欧米企業の「経営」に対する取り組みの違いにあるような気がする。
製造業で例えれば以下のようになるのではなかろうか。
工程内不良率が目標を達成すれば改善活動を止めるのが欧米流。
工程内不良率が目標を達成しても、更に目標をあげて改善するのが日本流。
経営効率を考えれば、欧米流の方が優れているのだろう。
しかし個人的には日本流に組したいと考えている。
そういう考えの日系企業が多いので、なかなか日本人赴任者が引き上げられないのだろう。
このコラムは、2018年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第671号に掲載した記事に加筆しました。
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